「……………」
右の頬に、刃物で切ったような感覚が走った。速すぎるだろ…認識できなかったぞ…
「まだ生きてる?とりあえず止め、行くわ!」
壁のあちらこちら、というか、もう壁自体が変形し始めた。もう駄目だな…きっと1秒後には蜂の巣になって…
「〝爆〟」
目の前でいきなり、何度も爆発が起きた。
「Lv.30の防御魔法使い…和哉、よく持ちこたえた。」
彩希菜が4階の窓から入ってきた。魔法だよな…?彩希菜が着地するのと同時に廊下に面した壁が崩れた。
「彩希…」
「あんたが上村彩希菜ね?初めまして。私はシーナ。知っての通り防御魔法を使うわ。それにしても…思っていたより子供ね。殺意むき出しなのに幼さがあるわ。」
「話は終わった?」
「え?」
「行くよ。〝剣〟〝瞬〟」
「何する気だ!!」
彩希菜は質問に答えずに剣を召喚し、凄い速さで突っ込んだ。
「好戦的ね。年上相手に挨拶もなし?」
「…………」
シーナは楯で彩希菜の剣を防いでいた。
そして次の瞬間、彩希菜は消えた。いや、シーナの真後ろにいた。
「とどめ!!」
背後からの一撃で、決着はついたように見えた。だが彩希菜は俺のすぐ前、もといた位置まで戻ってきた。しかもそのまま膝をついて倒れた。
「あ~あ。体が耐えられなかったんだ。初心者にはよくあるのよね。体が魔力に耐えられなくて戦闘不能になるのって。この娘の場合、運動能力を激増させる魔法のせいで体がボロボロパターンね。」
「まだ…戦える…」
「強がるんじゃないわよ。それ以上魔法使ったら死ぬかもよ?もし使ったとしても、それは私には届かない。やってみて分かったでしょ?他の雑魚連中と違って私は抜かりないの。」
ヤバい…このままじゃ2人とも殺される!!
「Lv.30の防御魔法使い、排除まで推定…15秒。」
「15秒!?面白い冗談を言ってくれるじゃない!」
彩希菜の雰囲気が変わった。これがあいつの本気なのか?
「我、上村彩希菜の名の元において命ずる。光の精霊よ、その力を我に貸し与え、楯をも凌ぐ矢とせよ。〝破線〟」
彩希菜は左手から細い光線を放った。
「上位魔法ですって!?」
光線はシーナの防御魔法を突き破り、奴の右胸を貫いた。そして彩希菜とシーナ、2人の魔法使いは同時に倒れた。