こんにちは、小林@かりん国際知財事務所です![]()
ご無沙汰しております。
知財無料相談を担当し、ご自身で出願したいとの相談を受けるとこの問題に引っ掛かる場合が多いです。
登録したい商標は決まっている。
さて、指定する商品は何にするか?
どう表現したら良いか?
まず、J-PlatPatというサイトがあります。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
この「商標」から、「商品・役務名検索」を選びます。
そして、「検索キーワード」に登録したい商標を使って販売したい商品を入れます。
例えば、「洋服」と入れます。
そうすると、「洋服だんす」とか「洋服用ハンガー」などが出てきます。これは「洋服」という文字を含むもの全てが検索されるからです。
下にスクロールしていくと、やっと「洋服」の2文字が出てきます。
左にある、25が「区分」であり、右にある、「non-Japanese style outerclothing」が「洋服」の英語表現となります。

そして右端にある数字とアルファベットの組み合わせが「類似群コード」となります。
で、安く商標出願をやってくれるところの出願や登録を見ると、「25類 洋服」とだけ書いてある場合があります。
「商標は〇〇、指定商品は「洋服」ですね、了解です!」
と、お客様の言うとおりに出願するものと思われます。
これはとても楽な作業なので、安く引き受けてもいいかもしれません。
でも、それで登録するのはとてももったいなく思います。
「洋服」を販売したい人は、「コート」や「セーター類」も販売したいのではないでしょうか?
しかし、「洋服」とだけ指定してしまうと、それらが独占的な権利範囲から落ちてしまうのです。
私は、まず、「洋服」をやりたいと相談があったら、「コート」や「セーター類」も指定してはどうかと聞きます。
これらは「17A01」という同じ「類似群コード」が付されています。

この「類似群コード」は、商品・役務が類似するもの、類似する商品役務群だよ(類似群)と推定してくれる範囲です。
商標権は、登録した商標ズバリではなく、類似する範囲まで権利が及びます。審査では類似する範囲もみます。
商品やサービスについても同様です。
「洋服」と「コート」は果たして類似するのか?
その判断を簡単にするために、類似すると推定される商品には同じ「類似群コード」が付されています。
「洋服」と「コート」は同じ「17A01」です。
一方、「下着」は、「17A01」ではなく、「17A02」となっています。

したがって、審査で類似ではない、ということになります。
つまり、同じ商標で、「洋服」と「下着」のそれぞれについて、別々の権利者が存在することになる訳です。
ここで私は、「被服」という指定をお勧めします。
なぜなら、「被服」という表現を使えば、「洋服」や「下着」だけでなく、「和服」や「帽子」も含まれるからです。
「被服」の「類似群コード」は、「17A01,17A02,17A03,17A04,17A07」なのです。この「類似群コード」が付された商品を全て網羅します。

で、さらに私は提案します。
「履物」はどうですか?将来の可能性を聞いてみます。
これは「被服」と同じ25類なので、指定しても費用は変わりません。可能性があるなら「履物」も指定します。

またさらに聞いてみます。
そのブランドが有名になれば「かばん類」も扱うことは無いでしょうか?
有名になれば、ファッション関連で「かばん類」への展開も考えられます。
ただ、「かばん類」は18類なので、25類とは別の区分となり、区分の数が増えてしまいますので、印紙代や弁理士手数料も増えることとなります。
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ご自身で出願なさることも、安いところを使って出願なさることももちろんOKですが、上記のような「類似群」や「類似群コード」のことは必ず押さえておいてください。
そうでないと印紙代すらもったいないような、ちっぽけな使えない商標権を維持することになりかねません。
注)「洋服」と指定して登録しても商標権の効力は「コート」にも及びますので(商標法37条1号)、他人は「コート」について同じか似た商標を使うことはできません。しかし、「コート」に登録商標を使っていても不使用取消審判で登録が取り消されてしまうことがありますし、ライセンス契約を「コート」ですることもできません。
2023年1月28日