ビル街の突風に昴流は思わずコートの襟を立てた。夜の新宿、特に此処のようなオフィス街は昼間の忙しない賑わいとは打って変わって閑散としており、びゅうびゅうという風の音だけが響いている。
無性に煙草が吸いたくなり、コンクリートの間の申し訳程度の公園に足を踏み入れた。火を付け煙を肺いっぱいに吸い込む。
向かいのビルディングのガラスに映る若い男の姿。気だるく煙草を吸う彼を見て、もう誰も姉に似ているとは言わないだろう。僕は変わった。
彼女の命が投げ出されたその日から。
西の方角に彼の気配を感じた。
今度は僕がこの身を投げ出すのだ。
無性に煙草が吸いたくなり、コンクリートの間の申し訳程度の公園に足を踏み入れた。火を付け煙を肺いっぱいに吸い込む。
向かいのビルディングのガラスに映る若い男の姿。気だるく煙草を吸う彼を見て、もう誰も姉に似ているとは言わないだろう。僕は変わった。
彼女の命が投げ出されたその日から。
僕は生きている。姉のことは忘れたことが無かったが、同時に彼がくれた優しい時間を忘れることも無かった。僕は生きている。幸せだとは決して思わないが不幸でも無いと思う。
西の方角に彼の気配を感じた。
今度は僕がこの身を投げ出すのだ。
ただし、僕自身の為に。
踏み消した吸い殻を灰皿に放って、昴流は走り始める。
相変わらず風は強かったが、構わなかった。真っ白な靴で地面を強く蹴り上げた。
***
リハビリがてらに書いてみる。星昴はエバーグリーン。





