東アジアカップ2015メンバーから見る選手の成長あれこれ | CZOブログ

東アジアカップ2015メンバーから見る選手の成長あれこれ

先日8月から中国・武漢で開催される「EAFF東アジアカップ2015」のメンバー23名がJFAより発表されました。


GK
東口 順昭 ヒガシグチ マサアキ(ガンバ大阪)
西川 周作 ニシカワ シュウサク(浦和レッズ)
権田 修一 ゴンダ シュウイチ(FC東京)

DF
水本 裕貴 ミズモト ヒロキ(サンフレッチェ広島)
丹羽 大輝 ニワ ダイキ(ガンバ大阪)
槙野 智章 マキノ トモアキ(浦和レッズ)
森重 真人 モリシゲ マサト(FC東京)
太田 宏介 オオタ コウスケ(FC東京)
米倉 恒貴 ヨネクラ コウキ(ガンバ大阪)*
藤春 廣輝 フジハル ヒロキ(ガンバ大阪)
遠藤 航 エンドウ ワタル(湘南ベルマーレ)*

MF
柏木 陽介 カシワギ ヨウスケ(浦和レッズ)
武藤 雄樹 ムトウ ユウキ(浦和レッズ)*
山口 蛍 ヤマグチ ホタル(セレッソ大阪)
米本 拓司 ヨネモト タクジ(FC東京)
谷口 彰悟 タニグチ ショウゴ(川崎フロンターレ)
柴崎 岳 シバサキ ガク(鹿島アントラーズ)

FW
興梠 慎三 コウロキ シンゾウ(浦和レッズ)
倉田 秋 クラタ シュウ(ガンバ大阪)*
永井 謙佑 ナガイ ケンスケ(名古屋グランパス)
川又 堅碁 カワマタ ケンゴ(名古屋グランパス)
宇佐美 貴史 ウサミ タカシ(ガンバ大阪)
浅野 拓磨 アサノ タクマ(サンフレッチェ広島)

※「*」は日本代表初選出。


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国内組で形成された上記メンバーは言ってみれば「Jリーグ選抜」。
彼らの足跡を振り返る事でサッカー選手の成長経路について何か分かるんじゃないかと思い、少し調べてみました。

それが以下の表です。



コチラの表は選出メンバーについて①出身校②J1/J2出場得点③代表歴をまとめたものです。

まず「出身高校/ユース」。
ユース9名、高校14名と言う比率もさることながら、その高校の内訳が非常に興味深くあります。
大津高校、青森山田高校、四日市中央工業高校の様な所謂名門もありますが、それより洛南高校、三重高校、麻布大淵野辺高校、伊丹高校、武相高校、小松高校ら全国的には決して強豪と認識されていない高校が多く名を連ねています。
またかつては遠回りと見られていた大学経由の選手も5名が選ばれていて、以前に比べて日本中にサッカーが広がっているのが感じられます。

次に「J1/J2の出場歴」について。
近年香川さんの活躍もあって「J2経由代表行き」が活発に言われていますが、今回は約70%の16人がJ2での経験を経て代表に選ばれています。
ただこれまで「J2経由代表行き」を語る際「所属クラブの降格の影響でたまたまJ2でプレイしていた時期がある」人もカウントされていたりして(今回で言うと藤春さんや山口さんや宇佐美さんら)個人的になんだかなぁって思っていたんですが、今回はJ2で100試合以上も出場してる正に「J2で育った選手」が3名(丹羽さん米倉さん遠藤さん)も選ばれているのが非常に興味深くあります。
こちらもJクラブ全体が底上げされたからこそ成せるデータなのかなと思う訳です。

そして最後に世代別代表について。
U-17・U-20はそれぞれ2学年で20人以上選ばれているので、有力選手の多くはこの世代で代表に絡んで日本代表へとステップアップしています。
また昨年のブラジルW杯で五輪・U-20・U-17のいずれも経験していない選手は長谷部さん青山さん大迫さんの3名のみだった事からもこの世代で代表に絡んでおく意義が感じられますね。
そんなターニングポイントともなりうる世代別代表にほぼ絡まずに今回選ばれた選手が6名(東口さん米倉さん藤春さん武藤さん谷口さん興梠さん川又さん)もいます。
大卒中心ではありますが、この遅咲きの選手を拾えるのも今大会の意義なのかなと感じますね。

さてここまで3点について考察してきましたが、何が言いたいかって言うと「今日本サッカーって成長経路が多様化してるよね」って事です。
決してユースや強豪校と言われるクラブへ行かなくてもプロになれて代表を目指せる、これって素晴らしい事ですよね。
ただ一方で「エリートと言われていた選手が上手く育っていないよね」とも思う訳です。
今回選ばれたメンバーで若くして注目されていた選手(ここではU-17出場選手とします)で、高卒後間もなくポジションを掴んだ選手って権田さん柴崎さん宇佐美さんくらい。
現在日本ではプロ入り後から20代前半の年代での実戦経験不足が課題とされ、J3にJ-22選抜を送り込んだりと対策が施されていますが、この「エリートが育たない」現状からもそんな側面が垣間見られるのではないでしょうか?

ちなみに私的に今回の代表で今後のモデルケースとなっていって欲しいなと思っているのが大田宏介さんのケース。
麻布大淵野辺高校って言う全国的にはあまり有名でない(もちろん県内では強豪だけど)高校から、J2クラブに入りそこで力をつけてからJ1清水を経て東京で日本代表選出ってケースなんだけど、こう言う成り上がりのケースにドンドン出てきて欲しいなと思っている訳です。

もちろんエリート選手をそのまま育てるのは大事だと思います。
ただ大卒が5名選べれている現状、強豪校とは言えない高校から多数選ばれている現状を見ると、日本サッカーの広がりにより注目していくのも日本サッカーの一つの発展の道なのかなと。
今回の23名の中で高校からJ2クラブに加入したのは太田選手ただ一人。
大卒5名に遥かに劣るこの数字は、言い換えるとJ2クラブの育成力のなさ、高卒選手発掘力の低さを示してる気がしてしまいます。
ユースの昇格以外で今春J2が獲った高卒選手は手元の資料では8名のみ。
J1が注目する有力選手以外にも力のある選手は全国にいると思っているので、J2クラブのこのスカウト意欲の低さは残念であり勿体なくも感じてしまいますね。

以前にも述べたところではありますが、湘南なんかは少し前からその辺りに注力し亀川さんの発掘など結果を出しつつあります。
また水戸さんも内田航平さんらが台頭しつつあるので気になってしまいますね。

いろいろととっ散らかってしまいましたが、まとめると私的に今後の日本サッカーは「底辺拡大」がキーワードとなっていくのかなと見ています。
思わぬところからの思わぬ選手との多くの出会いが今から楽しみですね。