1週間前、3年付き合い、婚約までしていた人とお別れしてきた。
幸せになりたかっただけなのに、上手くいかない。
何となく分っていたよ、あなたに他に好きな人がいたことも、その人が忘れられないってことも、もうすぐ駄目になるってことも・・・。
でも、しがみつきたかった、きっと結婚すれば私のこと見てくれる、私が頑張れば、きっと好きになってくれるって。
でも疲れたよ。こっち向いて欲しくて、やきもち焼いてないふりしたり、いい子でいようとしたり。彼が、誰かとメールしているだけで不安になったり、時間にちょっとでも遅れると、たまらない気持ちになる。
結局、自分に自信がないからだって、気が付いたら急に自分が可愛そうになって、悔しくて、悲しくて、もう限界だった。
ただ、私だけを見ていた欲しかったそれだけなのに。
今日から、ちょっと早めのお盆の長期休暇を取り、実家に傷心のまま帰省した。
実家は暖かい。
婚約が破談になり、迷惑掛けたのに、その事には触れず、母はただ、『良く頑張ったね。』そういってくれた。家族の優しさが身に沁みる。
今日は、天気がいいし、久しぶりに街に出てみる。
懐かしい景色、懐かしい風、空気。
私を子供の頃のまだ純粋で、全てが楽しかった頃の記憶に戻す。
大きな飼い犬に引っ張られるように、散歩した道。
毎日通った小学校。
よく遊びに行った友達の家。
大好きだった男の子と歩いた道。
ずっと、好きだった人。私は、学校の帰り道、告白したんだ。
後ろから走って追っかけて言って、『大好き、付き合って!!!』って叫んだよね。
彼は、彼は真っ赤な顔で、『馬鹿か、恥ずかしいだろ・・・。俺も、お前と一緒・・・。』
『・・・。』
『だから、俺も好きだって言ってんの!』
驚いたけど、嬉しかった。あのときの私は、周りとか、何も気にせず、ただ、好きってだけだったのにな。彼といれれば、どこでも幸せだったし、私のままでいられる気がした。初めてのデートで、手を繋いだだけて、ドキドキして、心臓を吐き出しそうになったよ。隣にいる彼は、全然平気な顔しちゃって。心臓の音どうやって隠そうか、大変だったんだから。
ゆっくり歩いていくと、思い出の映画館がある。
この映画館にも、良く二人で来たね。
何となく懐かしさで入ってみたくなる。
今日は日曜日だから、混んでるみたい。
映画館の中は既に暗くて、映画が始まりそうだったけど、席を探す人達でまだ落ち着かなかった。
彼と一緒にいた時も、そんな事がよくあった。
2席空いている所がなかなか見つからずに、ギリギリまで探したりして。
見つからずに一番後ろに立って見た事も何度かある。
立ち見だけど、私はこの席も好きだったりする。
私のファーストキスの場所。
映画に感動して泣いていたら、彼がそっとハンカチで、私のホッペ拭いてくれて。
私が『ありがとう・・・。』って彼の目を見たら、キスされたんだ。
私は、立てなくなって、その場に座り込んでしまったよ。
キスがこんなに、体の力抜けるものだなんて知らなかったから。
私たちは、いつも、手を繋いでいたね。
手から、あなたのぬくもりが伝わってきて、私はいつも幸せだたよ。
私もそれに答えるように、時々、ギュって強く握り締めたりして。
いつも一緒だって思っていたし、心も通じているって思っていた。
これからも、ずっと一緒だって思っていたし、これからも気持ちは変わらないって思っていた。
君の隣、それは私の特別な場所で、大切な大切な場所で、二度と戻れない場所。あの時の純粋にあなたを思う私も、私を好きでいてくれるあなたも、もういないのだから。
少し、遅れて、カップルがやってきた。私両隣に座ろうとしていたので、一つ、隣に移る。せっかく一緒に来たのに、離れ離れなんて、一緒に来た意味がない。私たちも何度か移ってもらったこともある。
映画は、恋愛もので、失恋したばかりの私には心の癒し。
涙もろいところは変わらない。失恋の後だし、たくさん泣いた。
『相変わらずだね・・・。泣き虫さん。』そう言って、ハンカチを差し出してくれるその人は、少し大人になったけど、優しいそうな笑顔の変わらない、10年前大好きだった、彼でした。
私は、ハンカチを差し出してくれた手を、強く握った。