「いやぁ、・・・・すごく広い庭ですね~・・・・まるで廃村のようだ・・・・・」
メルボルン記者はハッとした。
おまけに口を大きく開け手で隠して見せてお茶目を演出した。
「いっけね!失言だ!!見事なお庭だったもんで」
「気にすることはないよ、メルさん。私もこの庭、廃村のようなものだと思っていたのだよ」
オクトパス伯爵の目線をゆっくりと辿り、もう一度庭を眺める。
オクトパス伯爵は煙草に火をつけた。
「メルさん。私に買えないものはない。なんでも買ってきた。
好き放題だったよ。おかげで周りからは『股間になったよさくらんぼ』って噂されたもんだ。
・・・・・・・・・だがね、メルさん。結局は何にも手に入っていないんだよ。
庭を買ったものの家の前に虎を放し飼いにしたら、このざまだ。
一歩もでれね~!!!!!
ピザハットの人来るたび骸骨に!!!!
陸の孤島!!!!!!!!!!
今~私の願い事が叶うならば~翼が欲しい~
私はね、メルさん・・・・」
「伯爵。あなたは私欲が強すぎた。私が見てきた、どんな金持ちより、なるほど立派な『サクランボ』
ですよ。」
伯爵が言葉を発するたびに左右する『さくらんぼ』は西日を浴びて大きな影となる。
彼らがいる小高い丘からその影は庭に大きく揺れていた。
その揺れる影を虚ろに眺めながら、メルボルンは口を開ける。
「しかし、手に入れたこの広大な土地は家族のものにはならなかった。」
伯爵はゆっくり頷く。その言葉の先を伯爵は待った。他人に実際に言葉で言われたかったのかもしれない。
「あなたは土地のかわりに大事な家族を失った。『さくらんぼ』は『咲くランボー』という見出しをつけたい
ぐらいです。」
伯爵はクスリともしなかった。
「・・・・・・・・パーパーーーー・・・・・・・・」
伯爵は身を乗り出した。
聞こえた。確かに聞こえた。
あれは愛する我が娘、クリコの声!!!!
「クリコ!!!どこだ!!この辺は危険だ!!」
伯爵の不安は的中した。
『さくらんぼ』の影が振り子のように揺れたのが虎を威嚇したのか、いつも以上に凶暴に虎達は走る。
「・・・パーパー!!!!!!」
「近いぞ!どこだ!!クリコ!!!!!」
背の高くなった草木をかき分け進む伯爵。後ろには必死についていくメルボルンもいる。
不意に目の前の草が二つに分かれた。
クリコだった。
「パパー!!!!!!!」
「クリコ!!!」
伯爵に近寄る娘に、ナイスタイミングで虎は現れた。
「伯爵!!危険です!!!!」
伯爵はとっさにクリコの前に大きな壁を作り上げた。自らの体を大きく伸ばした。
虎は怯まない。彼の爪は人の肉をあっさりと裂いていた。
倒れる伯爵。虎は肉片の味に興味がないのか颯爽と立ち去った。ラッキー。
「パパ・・・・・・」
「せっかくの再開なのにな・・・私は何をしているのだろうか・・・・・」
「いいの・・・しゃべらないで・・・・・・・!!!!!!」
「・・・・そうだ・・・最期かもしれないから・・・・お願いがあるんだ」
虎の爪の一撃で吹き飛んだものが伯爵の上に落ちてくる。『さくらんぼ』だ。
伯爵は左手でつかみ取る。自らの『さくらんぼ』だ。
「コイツを・・・・・・・
焼いてみないかい!?」
という具合にたこ焼きが自宅で手ごろに食べられるタコ焼き機が我が家に参上しました!
何いれようかな。
今日のおやつ
えびせんべい パリッとしてますな。