
夜行列車にゆられて、東京駅についたのは、
朝方だった。先に書いた理由で、私一人だった。
電車を乗り換え、どうにか、女子大の学生寮まで、
たどり着いた。
ほんとは、最初から、一人暮らしをしたかったので、
寮など、入りたくはなかったのだが、ここでの、
一年間は、楽しく貴重な、青春の一ページとなった。
何より、ルームメートに恵まれた。優しくて、
穏やかな、人たちばかりだった。月曜から、土曜日まで、
朝食と夕食があり、日曜日は、朝食だけだった。
日曜日の朝食は、パンとバターとヨーグルトと紅茶の
ティーパック、この日だけは、お部屋で食べた。
一年生が、日曜日の朝、8時(?)ぐらいまでに、
食堂にとりに行き、お湯を沸かして、お茶を入れるのが、
ルールだったのだが、私は、いつまでも寝ていた。
みんなからは、‘眠り姫’と、呼ばれた。目を覚ますと、
先輩が、いつも、用意していてくれた。私は、冷たくなった、
紅茶を、飲んだ。それでも、怒られたりは、しなかった。

寮生活で、忘れられないのは、お電話当番だ。
当時は、携帯も、インターネットもない。緊急の場合を除けば、
寮生に、電話をかけようと思うと、決められた時間の、この電話しかない。
何百人もいる寮生に対して、電話は確か、3台。いつも、大変
混み合って、かかりにくかった。たいていは、田舎の母親から。
電話があれば、館内放送で呼び出す。
‘5号室の◯◯さ~ん、おでんわで~す。’
日本中の、お国なまりが聞けた。
こちらから電話するときは、公衆電話、小銭が、
いっぱい、必要だった。

寮の部屋は、5人部屋。私以外は、皆地元の東北や、
九州に帰り、今や地元を離れているのは、私だけだ。