仕事中もそのことが気になってしょうがなかった。
些細なことでも良いから、絶対に柿子の個人情報を掴んでやる。
昼休みになり、いつもの喫茶店に向かう。
そこでもスマホを片手にランチもそっちのけで探す。
しかし、なかなかそれらしい情報にぶつからない。
あっという間に1時間が経過しようとしていた。
慌ててサンドイッチとコーヒーを頬張り、走ってオフィスへと戻った。
この日は特に急ぎの仕事は無かった。
定時になるやいなやパソコンを閉じてオフィスを出た。
ここから探偵タイムは始まる。
引き続き検索でワードを変えながら、あらゆるサイトを漁っていく。
どんな小さなことでも良い。
どこかにヒントが落ちていないか探し続けた。
しかし、そう簡単には行かなかった。
この情報社会にあってもなお、調べ出せない情報は山ほどあるのだ。
顔を上げて、ふと中吊り広告に目をやる。
やれ芸能人の不倫だスキャンダルだ、相変わらず節操の無い広告が吊られている。
その横に、小さく書かれている文字が気になった。
江戸時代に活躍したある有名な武士の生家が発見された、という記事だった。
あ!・・・一瞬体が固まった。
そして、次の瞬間体中に熱い何かが流れ出すのを感じた。
そうだ。
その政治家の家の近く、つまり柿子の実家の近くに、歴史的に有名な武士の家があったと柿子が言っていたことを思い出した。
そこは史跡としても有名で、多くの観光客が訪れる場所でもあったはずだ。
微かな記憶を頼りに調べる。
すると、その史跡の場所が次第にわかってくる。
どんどん調べていく。
その場所の住所はどこだ。
今自分が電車にいることも忘れ、無我夢中で調べた。
すると、ついにその史跡の住所がわかったのだ。
「5の3の・・・」
ここだ、ここに間違いない。
そして、判明した住所をGoogle Mapで調べる。
すると、見事に高級住宅街の街並みが現れた。
そうだ、確かにこの史跡だ。
そこからストリートビューで周辺を調べる。
200mくらい進んだ時、大きな屋敷が見えた。
これだ、これが柿子の言っていた大物政治家の家に間違いない。
手に汗を握りながら、再びスマホを操作した。
鼓動の高鳴りが次第に大きくなっていくのを感じる。
政治家の家を右に曲がり真っ直ぐ進む。
この辺りか。
ゆっくりと少しずつ進んでいく。
そして、道路と反対側の家を向いた。
とその時、ついにそれが現れた。
ふと目に飛び込んできたのは「品目」と書かれた表札だった。
それは、柿子の苗字だった。
これだ!ついに見つけた!
ここが柿子の実家であることは間違いなかった
。座っていた腰を思わず揺らした。
全身に力が入ったまま、一つ深呼吸をした。
よっしゃ・・・ついに見つけた。
ついに見つけたぞ。
体中を高濃度の血液が流れているのを感じる。
興奮冷めあらぬまま、足早に電車を降りた。