翌日の弁護士相談のことで頭がいっぱいで、よく眠れなかった。
今日は急遽午前中に休みを取って事務所に行くことになっていた。
近い場所を探したのだが、一番良さそうな事務所は比較的遠い場所だった。
電車とバスを乗り継いで1時間、駅を降りてGoogle Mapを見ながらやっと事務所まで辿り着いた。
思ったよりも田舎街っぽい雰囲気の場所で、商店街の中にポツンと事務所が建っていた。
ガラス張りになっているけど、ブラインドがしてあって中が見えない。
営業しているのだろうかと不安に思うも、きちんと弁護士事務所の名前が看板に書かれていたので間違いは無かった。
インターホンを押すと、低い男性の声で「はい、どうぞ」と言われ、中に入った。
女性が応接まで案内してくれ、しばらくここで担当者を待つことになった。
10分は待っただろうか。
ようやくドアが開いた。
すると、大柄な男性が「ごめんなさいね」と笑いながら入ってきた。
弁護士というくらいだから、私の中ではピシッとスーツに身をまとい、髪型もしっかりと決まって清潔感のある弁護士を想像していた。
しかし、目の前に現れたのは、いかにも弁護士っぽくない大柄で髪も髭も毛むくじゃらの大男だった。
一瞬、戸惑いながらも挨拶を交わして、早速今までのコトを全て話していく。
男はメモを取ることもなく、眠そうな顔でずっとこちらを見ている。
一通り話したところで、男が口を開く。
「なるほど、よくあることですね」
弁護士にとってはよくある話で慣れた案件なのだろう。
男は続けた。
「どうしたいですか?訴えますか?」
急にそんなことを聞かれてもどう答えて良いかわからなかった。
「いや、今は全然わからないです」
と答えるのが必死だった。
なんとなく威圧的な感じと、早くこの時間を終わらせたいという雰囲気が伝わってきた。
こういうものなのだろうか。
聞きたかった質問は全部聞いたけど、返ってくる答えはいつも一言二言。
これ以上は聞いても無駄だと思ったので、最後に費用だけ確認した。
男は半笑いでこう言った
「まー色んなプランがあるけど、100万円くらいもらえれば色々やりますよ」
相場が全くわからなかったが、100万円など払えるはずが無い。
とりあえず費用を聞いた段階でお礼を申し上げて、事務所を出た。
親身になって聞いてくれるだろうと淡い期待を抱いて来た自分に幻滅した。
こんなものだろうか・・・。
何とも言えぬ濁った気持ちで、とりあえず会社へ向かうことにした。