この日は日曜日。

 

いつもなら家でのんびりと過ごすのが最高の時間だったが、今はそうではない。

 

家にいるほうが落ち着かないので、家族を連れて2時間くらいのドライブに出掛けた。

 

いつ黒川からメールや電話が来るかわからない恐怖はあるが、さすがに家から遠く離れたこの場所であれば目の前に現れるリスクは少ない。

 

久しぶりに自然の風景を眺めながら、心が静かに落ち着いていくのを感じた。
 

この数か月、本当に地獄だった。

 

いや、地獄を上回る言葉があるならその言葉で表現したい。

 

そのくらい、いまだかつて体験したことのない恐怖が毎日を支配し、いままで感じたことのない心と体の反応を日々目の当たりにしてきた。

 

いつまで続くのだろう。

 

これが後何か月も何年も続くのなら、正直私の精神は持たないと思っていた。

 

つくづく不倫をしたことの懺悔と、どこかで相手を間違った後悔が激しく自分を責め立ててくる。
 

久しぶりの気晴らしドライブを終えて、夕方には家に戻った。

 

明日は仕事だから早めの夕食を食べている時、突然インターホンが鳴った。

 

こんな時間に誰だ・・・。

 

完全にオフになっていた自分の体が一気に戦闘モードに入るのがわかる。

 

こんな時間にインターホンが鳴ることは普段ならあり得ない。

 

椅子から腰を上げてゆっくりとモニターを見ると、なんとそこには警察官の姿があった。

 

そして後ろに赤く光るパトカーの姿も見えた。

 

何事だ。

 

思わずその光景に目を疑った。
 

「夜分にすみません。ちょっとお聞きしたいことがあり、よろしいでしょうか」

 

私は一気に鼓動が激しくなるのを感じた。

 

そして、それを隠すかのように「何だろうな、ちょっと行ってくるわ」と独り言を呟き、家族に外へ出ないように伝えてから玄関へ向かった。

 

この数秒の間に私は色々なことを考えた。

 

柿子または黒川のアクションで警察が来たのか。

 

よもや逮捕されてしまうのか。

 

しかし、目の前に警察官がいるのは事実。

 

もう覚悟を決めるしか無かった。

 

グッと唾を一つ飲み込んで玄関のドアを開けた。