仕事中も気が気でない。
電話が鳴る度に電話番号を確認する。
黒川の電話じゃないことを確認して電話機から目を離す。
受付からの内線が鳴る度にドキッとする。
誰が来たのか・・・。
いつもなら取らない内線も思わず先に取ってしまうこともある。
それだけ、普通じゃない焦りと不安感が自分を憑りついて止まなかった。
家でももちろん変わらない。
インターホンは気が気でない。
しっかりチェックしてから、配送業者なら出るが、それ以外の意味不明な業者には絶対出ない。
そして、携帯電話に掛かってくるどこの誰からなのか分からない番号は、何よりの恐怖を植え付ける。
黒川の番号は分かっている。
しかし、黒川でなくてもヤツの追手か関係者の可能性だって考えうる。
電話には絶対出ないが、鳴っているそばからインターネットで電話番号を調べる。
よくある営業の電話なら安心するが、何の手がかりもない謎の番号だと、数日間はそのことで頭が離れない。
今日も足早に仕事から家に帰ってくると、隣の敷地の前に不審な車が止まっていた。
こんなところに止める車は今まで見たことが無かった。
しかも、やや大型の黒塗りの車。見るからに怪しい。
家に入るフリをして、すぐに中を覗く。
車内の電気が消えていて、誰もいないことはわかった。
とりあえず家の中に入って夕食を済ます。
食事中も外の車のことが気になって、なかなか箸が進まない。
妻も「たまたまでしょ」と言う。
夕食を早々に切り上げ、静かに家のドアを開けた。
影から車内を覗くとまだ暗かった。
誰もいないことを確認し、柱の脇から携帯電話を忍ばせナンバープレートを撮影した。
暗いし、携帯カメラの性能も低いからうまく撮れない。
もう一度、腕を目一杯伸ばして撮影する。
撮った画像を確認すると、この近辺のナンバーではなかった。
明らかに街から来ている車だった。
もしや、黒川か・・・そう恐れながら家に戻った。
子どもを寝かせて私も早々に寝床に入った。
あの車が何者なのか。
そしてあんなところで何をしているのか気になっていた。
再度外に出て確認しようとした時、急にエンジン音が聞こえて、足早に車は去っていった。
ドライバーも、同乗者がいるかどうかも確認ができなかった。
その日から、家の周辺に泊まっている車にはいつも以上に敏感になった。
ただの気のせいなのか、それとも黒川のなにかしらの攻撃なのか。
考えれば考える程、頭の中はおかしくなっていった。
