最寄り駅に着いた時、ふと不審な動きをする人間を察知した。

 

明らかにこの駅で乗り降りをしている雰囲気でないヤツがいる。

 

黒いスーツを来た眼鏡姿の男。駅を降りてうろうろしながら、私の後を追ってくる。

 

エスカレーターを3mくらい離れて乗ってくる。

 

そして、改札を出ようとした時、もう1人の不審者に気づく。

 

あたかも誰かを待っている様な素振りで、改札の外で立っている人間がいる。

 

グレーの羽織物を着てキャップを被っている女。

 

毎日この駅を使っている私にはわかった。

 

この人間が地元の人間ではないことを。悟られないようにいつも通りSUICAを取り出し、上目遣いで女を確認する。

 

女の目線は私ではなくもう1人の眼鏡男を見ていた。

 

そして、静かに頷いたのだ。

 

私はその瞬間を、見逃さなかった。

 

改札を出る寸前で方向転換し、切符売り場へと向かった。

 

その瞬間に私は眼鏡男をチラッと確認する。

 

すると、その眼鏡男も同様に女に向かって軽く頷いたのだ。

 

私は確信した。

 

こいつらはグルであり、私の後をつけている人間だと。
 

しかし、まだ断定はできない。

 

もしかしたら、この男と女はカップルでただ駅で待ち合わせをしていたのかもしれない。

 

私は不審に思われないようにカモフラージュ的にSUICAをチャージして、何事も無かったかのように改札を出て駅の外へ向かった。

 

もし、この時点であの男と女が一緒になって外へ出ているなら、私の考え過ぎもあり得る。

 

しかし、別行動をしているなら、間違いなく私の追手であることは想像がついた。
 

向こうもそうだが、私もまた気づかれることは許されない。

 

真っ直ぐ帰ることはせず、近くのコンビニまで歩いていった。

 

曲がり角に差し掛かった時、一瞬後ろを振り返る。

 

しかし、あの男も女も確認はできなかった。

 

そして、コンビニ到着し、特に買い物もせずうろうろしながら、5分後にコンビニを出た。

 

すると、コンビニから少し離れたガードレールにあの男が座っていたのだ。

 

私はすぐに周囲を確認した。

 

コンビニから出る人、駅から歩いてくる人、何人かが目に入ってくるがあの女の姿はどこにも無かった。

 

少しずつ確信に近づいてきた。
 

私はもう一つトラップを仕掛けた。

 

コンビニを出てしばらく歩いてから、家とは違う方向に急遽曲がった。

 

そこから一気に走り、もう一つの曲がり角で止まった。

 

そして、少ししてからまたさっきの道を戻ることにした。

 

ここはほとんど人通りが無い道だ。

 

もし、この道であの男にあったならば、それは明らかに不自然な行動と判断できる。

 

曲がり角でしばらく呼吸を整えてから、私は来た道を戻った。