覚悟を決めたら、もう迷いなど無い。

 

一直線で家に向かった。家の前に着いた時、未だかつて湧き上がったことの無いたまらなき感情が押し寄せてきた。

 

これからヤバいことが起こるのは火を見るよりも明らかだった。

 

それでも自分で決めたことに後戻りなどできない。

 

インターホンを押す。

 

すぐに妻が出てきた。「おかえり」

 

私はただいまも言わず、妻と目も合わせず、「子どもいないね。ちょっと入って」と無理矢理に妻を家の中に入れる。

 

明らかにいつもと様子の違う私の姿に妻はおののいていた。「どうしたの、何?どうしたの・・・」
 

私の顔面は硬直し、緊張で真っ赤になった頬と涙で真っ赤に染まった目で妻を見た。

 

そして、こう言った。

 

「俺、不倫をしてた。ごめん」

 

精一杯だった。やっとの思いで出た言葉だった。

 

妻は固まり、言葉にならない言葉で絞り出した。

 

「は?・・・」

 

もう一度、言った。

 

「俺は会社の人と不倫をしてました。ごめん」

 

そう言った時、妻の表情は変わった。

 

ようやく私が言っていることと、明らかにおかしい私の態度を理解し、こう叫んだ。

 

「何言ってるの?誰とよ!」

 

そこからの記憶はほぼ無い。

 

おそらく、妻の怒号は鳴りやまなかったはずだ。

 

そして私は全てを丁寧に話し、全てを受け入れる覚悟であることを伝えたのだと思う。
 

気づいた時には、妻も私も大粒の涙を流していた。

 

そして、妻がこう言ったことだけは覚えてる

 

。「もう絶対に離婚だから!そして、その女に会わせて!」

 

めちゃくちゃになった。

 

全てがめちゃくちゃに破壊された。

 

私は一切の言い訳も反論もせず、ただただ自分が悪かったことを伝えた。

 

何度も何度も謝罪をした。

 

1時間は経過しただろう。

 

お互い悲壮感に占拠され、疲弊がピークに達した時、私は最後に伝えた。

 

「今日、女のパートナーに会ってきた。今、脅されている」
 

そこからの記憶もまた途切れ途切れになっている。

 

それを聞いた妻がどう反応したか、そして私は次にどんなアクションを起こしたのか。

 

あまりの刺激に脳がついて来れなくなっていた。

 

覚えているのは、眠れなかったこと。

 

眠れずに何度もリビングに行き、焼酎をストレートで一気飲みしていたこと。

 

そして、朦朧とする意識の中で、もう一つの大きな決心をしたことだった。