私の仕事はいわゆる医療従事関係者。

 

大学を卒業してから就職して20年以上、真面目に仕事をしてきたつもりだ。

 

結婚して念願の一人娘もできて、マイホームも買って。

 

はたから見れば順風満帆な素敵なお父さんという感じだろうか。

 

職場でも、ちょっと頑固なおじさんだけど後輩の面倒見は良かったし、順調に昇進も重ね課長クラスまでトントン拍子に進んでいった。
 

しかし、好事魔多しとはよく言ったもので、世の中全てがうまく行くことなんて無いのだと思い知らされることになる。

 

まさか、それが自分の身に降りかかってくることとも思わず。

 

その日もいつものように都会の満員電車に揺られながら会社へと向かった。
 

うちの会社は良くも悪くも離職率が高い。

 

厳密に言うとうちの部署特有な事象かもしれない。

 

パッと見、職場の雰囲気は良いのだが、中身は結構どろどろ。

 

どの会社もそうだろうけど、入れ替わり立ち替わり人が出入りするのはあまり良いことではないだろう。
 

この日も中途入社の新入社員が入ってきた。

 

新入社員と言っても40代だろうか。

 

雰囲気は品のある感じだが、この年代特有の若干派手さを隠しきれていない感じも出ている。

 

全員が出社したタイミングで新入社員は各部署へ挨拶回りを始める。

 

私の島にも足早に来て、爽やかな笑顔で「おはようございます」と挨拶をして言った。

 

私も仕事の手を止めて、緊張感の漂う新人に笑顔で挨拶をした。

 

お互い目を合わせ、何とも言えない同世代の雰囲気を感じ合ったのかもしれない。

 

第一印象はまー普通に悪くないという可もなく不可もない感じだった。

 

これが、のちのち私を地獄へといざなう柿子との出会いだった。