「今日みたいに続けて走るんじゃなくて途中で休めるし時間いっぱいあるから楽だよ」
百戦錬磨という印象の年配ランナーは私に軽くそう言っていた。
私は初めての200kmレースの最中多分120km地点辺り、丁度数日前に「ウルトラマラソンマン」というアメリカのウルトラマラソンランナー Dean Karnazesさんの書籍を読んだ後だった、その本では超人的な能力の主人公が200マイル(約320km)を完走する逸話が書かれていた。

休み休みとはいえ本の中の話よりだいぶ長いじゃないか・・・・本当にあり得ない、と呆れたのをよく覚えている。
年配ランナーは来年一緒にどう?と気軽に誘ってきたが苦笑いを返すのみだった。当分参加することは無い、あるとすればもう少し歳をとって普通のウルトラマラソンに飽きた時だろう。
昨年の5月参加することはなかった「川の道」フットレースは無事行われ、雨の降る悪条件の中数名のランナーがリタイヤを余儀なくされ、運の良かったランナーは日本海で歓喜を上げた。
私がブログを頻繁に拝見させてもらっている有名仮装ランナーどらごんさんも無事素晴らしいタイムで完走、仮装をしながら度々道中の苦しくも充実感に満ちた記録をブログにアップしてくれていてゴールデンウィークの期間ずっと応援していた。
私も同じ体験をしてみたい、でも私とどらごんさんとでは走力と経験値で大きな差がある。サブスリーもサブテンも出来ていない、周りを楽しませる仮装もせずただ完走を喜んでいるだけのランナーにこんな大会は10年早い。
しばらくして主催であるスポーツエイドジャパンのサイトを見ると「川の道」が終わっての手記がアップされた。
女性ランナーの青谷さんの完走記。写真を見てもごく普通の可愛らしいお姉さんという印象、本格的に走り始めてから2ヶ月で初レースが小江戸大江戸200kmで次が川の道520kmということだった。
この手記を読むまで私は毎年新しいことに挑戦している気になっていたけど、実は出来そうなことにしか挑戦していない事に気付き情けなくなった。
翌年、私の年間で一番の挑戦と考えていたUltra-Trail Mt.Fujiの抽選が行われ、残念ながら落選した。落選者には優先的に富士山を半分回るShizuoka To Yamanashiのエントリー権が付与されたので半分だけでも・・・と思いエントリーしたが昨年は何とかUTMFを完走していたし半分だけしか走れないことに何か目標を失ったような気持ちになった。
走ることに対して少し無気力になってきていた時、どらごんさんのブログを読んでいたら今年の川の道にエントリーしたという事が書かれていた。
私には過ぎた挑戦かもしれない、でも昨年は200km走れた。青谷さんは難なく挑戦してみせた。UTMFも走れない・・・。
職場に相談してその期間休みが取れるか聞いてみると許可を貰えた。理解をしてもらえて本当にありがたい。
彼女に相談すると「やりたいならやってみれば」という同意も得られた。もう迷うことなくエントリー作業を行った。大きな挑戦を控えたドキドキと準備をしなければいけない充実感でいっぱいになる。
エントリーしてからは、いつも頭の隅に「川の道」の事があった。考えることは雨や寒さにやられないか、超えたことのない200km以上をはたして走れるのか?どんな痛みが待ってるのか?
ネット検索してみると痛々しい足の画像や象の足のように浮腫んでしまうエピソードが沢山出てくる。出ると決まればこういう困難エピソードはワクワクしてくる対象にしかならない。自分だってそれなりに根性はある、完走できなければそれでもいい。
~つづく~