病院で働いているので、人の死は多く見てきた。でも、そこに「かわいそう」とか
「悲しい」とか、そういう感情はない。なぜなら、「もう、いいんじゃないか…?」と
思わされるほど、辛そうな人ばかりだから。自分では何も出来ない。管を通して
半ば無理やり栄養を入れられ、文字通り”生かされている”人が、その時を迎える。
ようやく楽になれる。家族だって、覚悟しているだろう。お疲れ様でした。
全てそれならいいのだが、今日体験してしまったものは、死に慣れたと思っている
自分でも、けっこう堪えるものがあった。
その方は、入院当初は歩行もおぼつかないおばあちゃん。しかし日に日に良く
なり、最近では独りで歩けるし、トイレも行ける。っていうかもう元気なら退院しなよ
と思うほど、見違えて元気を取り戻していた。
今日も普通に昼食を問題なく食べ、退院に向けた家族会議を行うため、家族も
来ていた。ようやく退院か。まあ、今の状態なら全く問題ないだろう。
そして、16時過ぎごろ。もう少しで退勤やー早く終わんねーかなー と思っていた
ら、信じられない事を話すナースが一人。
「○○さん急変です!息をしていません!!」
……? は? ○○さんって、あの? え? いやいや、さっきまで普通に歩いて……
穏やかだったステーションから、一気にナースたちが部屋に急行。俺は行っても
助けることは出来ないから、ナースがいない分、他のコールに出るしかない。
そして、状態の悪い方が主に入る部屋へ、ベッドのまま移送される。そこで、○○さんの
顔を見た。ぐったりしていて、顔は真っ白。……おいおい……。
その後、必死の救命活動も虚しく、逝去されてしまった。
亡骸を前に娘さんが号泣していたらしいが、……そりゃそうだろう。もうすぐ退院で、
随分と大切にされていたようだし、……それが、急に、こんな……。
一応プロなので、職員みんな、何事もなかったかのようにその後を過ごしていたが
(他の患者を動揺させるし)、やはりみんな、少なからずショックを受けていた様子。
かくいう自分も、なんともいえない虚無感が、家に帰ってからも拭えない。
聞けば、それなりに心臓の持病等は持っていたらしい。しかし、前兆もなく、本当に
突然、意識を失い、そのまま帰らぬ人に。
いつどうなるかなんて、本当にわからないね。目の前で死なれたご家族の心中は
察して余りあるが、○○さんの立場にすれば、寝たきりなどにならず、最後まで
元気なままだったので、死に方としては理想的ではあるか。……っていうか、そう
思わないとやってられない。
なんでこんなこと書いたのかって?
ちょっと吐き出さないと、キツイものがあると自分で自分にサインを出しているの
を受けたのかもね。
ということで、親は大切にしましょう。いつどうなるかなんて、本当にわかんねえわ。