エブリスディ、5年データにおいて重度脊髄性筋萎縮症(SMA)の小児の半数以上が座る、立つ、歩く能力いずれかを獲得または維持したことを示す




ロシュ社は6月7日、I型脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)の小児に対するエブリスディ®(一般名:リスジプラム)の有効性と安全性プロファイルを評価したピボタル試験FIREFISH試験の非盲検延長パートについて、新規の5年データを発表しました。


5年経過時点で、エブリスディによる治療を受けた小児の91%が生存しており、81%は永久的な人工呼吸器を必要とせずに生存しており、半数以上の小児が少なくとも30秒間(59%)支えなしに座ることができました。


5年経過時点では7人の小児が立つことができ、うち3人は支えがあれば、4人は補助なしで立つことができ、また6人は支えがあれば歩くことができました。疾患修飾治療を行わない場合の自然経過では、I型SMAの小児は支えなしに座る・立つ・歩くことができないだけでなく、通常2歳を超えて生存することが難しいとされています。


本データは、2024年6月5~7日に開催されたCure SMA Research & Clinical Care Meetingで発表されました。





エブリスディについて


 エブリスディ(一般名:リスジプラム)は、5q染色体の変異により生存運動ニューロン(Survival Motor Neuron:SMN)タンパク質が欠乏することで引き起こされるSMAを治療するために設計された、SMN2スプライシング修飾剤です。


液剤であるエブリスディは、経口または経管投与で毎日自宅で服用します。


 エブリスディは、中枢神経系と末梢組織でSMNタンパク質の産生を増加させ、維持することによりSMAを治療することを目指して設計されました。


SMNタンパク質は体全体に存在し、健康な運動ニューロンと基本的な運動機能(飲み込む、話す、呼吸など)を維持するために重要です。

 エブリスディは、2018年に欧州医薬品庁(EMA)からPRIME指定を、2017年には米国食品医薬品局(FDA)からオーファン指定を受けました。


2021年には、エブリスディが英国薬理学会から年間最優秀新薬賞を、また薬物研究学会から新薬発見賞を受賞しました。現在、エブリスディは100カ国以上で承認されており、13カ国で審査中です。




SMAについて


 SMAは、生命にかかわりうる重度の進行性神経筋疾患で、約1万人の乳児のうち1人が本疾患による影響を受けます。SMAは、生存運動ニューロン(SMN)1遺伝子の変異により引き起こされ、これによりSMNタンパクが欠乏します。


このタンパク質は体全体に存在し、筋肉と動きを制御する神経の機能に不可欠です。SMNタンパクがないと、神経細胞は正常に機能せず、時間とともに筋力が弱まります。


SMAのタイプによっては、身体的な強さや歩く、食べる、呼吸する能力が大幅に減少したり、失われたりする可能性があります。





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中外製薬 6月19日