iPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の網膜の細胞を世界で初めて患者に移植した、元理化学研究所プロジェクトリーダーの高橋政代氏(62)が、網膜細胞の製造方法の特許を持つバイオベンチャー企業「ヘリオス」(東京都)などに対し、特許技術を使わせるよう経済産業相に裁定を求めた問題で、条件つきで高橋氏側の特許使用を認めることで和解が30日、成立した。



高橋氏は発明者ではあるが、特許権を持っておらず、産学連携のあり方に一石を投じていた



 和解契約書によると、高橋氏側は、網膜色素上皮不全症の患者を対象にした自由診療に限って、特許の使用を認められた。同じ特許技術を使い、ヘリオス側とは別々に治療法の開発を進めることとなった。



 高橋氏は網膜細胞をiPS細胞から作るという自身が開発した技術を用いて、2014年に世界で初めて加齢黄斑変性の患者に網膜の細胞を移植した。



理研やヘリオスは共同研究を通して網膜細胞の作製に関わる技術で特許を取得した。発明者として高橋氏の名前も記載されているが、ヘリオスが独占的にライセンス交渉権を持っている。


 その後、高橋氏はヘリオスと治療のあり方で目指す方向性が異なってきたとして、共同研究を打ち切っていた。


高橋氏は別の方法で治療法を開発するため、特許の使用を求めてヘリオスに協議を申し込んだが、実現しなかったという。


 理研を退職した高橋氏は21年7月、自身が社長を務める医療系企業「ビジョンケア」(神戸市)などとして特許法に基づく裁定請求をした。


「公共の利益」を目的とした請求で、この時点ではヘリオスは実用化を進めるための治験を始めていなかったが、23年6月に治験開始を公表した。



 裁定請求を受け、弁護士や弁理士らでつくる特許庁の審議会は21年12月以降、非公開で協議を進めた。ヘリオスが明らかにした和解契約書によると、委員から和解提案があったという。


 高橋氏は記者会見を開き、「やりたいことが全部できるようになり大変うれしい。解き放たれたような気持ち」と笑顔を見せた。



産学連携が広がる中でトラブルは多発しており、「契約だから仕方ないと泣き寝入りしている人が非常に多い。一部でも覆せる可能性があることを示せ、同じ境遇に苦しむ発明者を勇気づけられるものだ」と語った。





こんなことになっていたのは知りませんでした


良かったですけど、腹が立つ話しです


高橋先生、頑張って❗️👍




ビジョン ケアより一部抜粋




和解の相手方 
国立研究開発法人理化学研究所 
国立大学法人大阪大学 
株式会社ヘリオス及び住友ファーマ株式会社





代表取締役社長 髙橋政代より 

 本和解成立は、おそらくは我が国で初めて、裁定申立の結果、特許権を有しなかった者に特許発明の使用が認められるに至ったことが広く公表可能となった事例であるという意味で大きな意義を持ち、産学連携が推進される昨今において同じ境遇に苦しむ発明者を勇気づけるものとして成果を上げられたと考えています。 

本裁定請求を通して、我々が強く訴えてきた「公共性の高い特許発明については、それをより良く活用できる者による実施が認めらなければならない」という主張の正当性が、長きにわたる努力により実を結び、皆様にこのような形でお知らせるできることに喜びを感じ、改めまして、本和解のお相手方ならびに温かいご支援をくださった皆様に深く感謝申しあげます。


プレスリリース 5月30日





今だにこんなんだから研究が進むわけない❗️


きっと同じ境遇の研究者が他にもいますね😖



理研はあの一件からパッとしない···





関連2件




 



iPS細胞関連の特許使用権巡り和解成立、元理研・高橋政代氏側に30人までの手術認める


iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った世界初の手術に成功した元理化学研究所プロジェクトリーダーの高橋政代氏が、自ら発明にかかわったiPS細胞関連の特許の使用権を経済産業相に求めた裁定は30日、和解が成立したと、特許庁が発表した。




iPS細胞を使った世界初の手術を行い、患者の経過を報告する
高橋氏(右)(2015年10月2日撮影)



 特許を持つ再生医療系の新興企業「ヘリオス」(東京)などによると、高橋氏側は、患者自身のiPS細胞を使った手術を30人まで実施できるなどとした。


 対象となった特許は、iPS細胞から網膜の細胞を量産する技術で、高橋氏は2014年、目の難病「加齢黄斑変性」の患者に移植する手術を主導した。
  



特許庁




 高橋氏も特許技術の発明者の一人だが、特許自体はヘリオスや理研などが出願して19年に登録。


高橋氏側は、実用化に向けた治験を独自に行うため、21年7月、特許が使用できるよう特許法に基づく裁定を請求し、専門家による審議が続いていた。