難治性急性骨髄性白血病の予後を改善 


同種造血幹細胞移植後の患者に対する ベネトクラクスの治療効果を検証




ポイント


◇移植後に再発した急性骨髄性白血病は予後が非常に悪く、有効な治療法がないのが現状。


ベネトクラクスはドナー由来免疫細胞の抗腫瘍免疫効果を高め、移植後に再発した難治例においても生存率を改善。


◇有効な治療法がない難治性急性骨髄性白血病に対する、新たな治療法開発の一歩に繋がる。



概要


近年、急性骨髄性白血病の新たな治療薬として、白血病細胞内のBCL-2蛋白を阻害し細胞死を促すベネトクラクス」が開発されました。


しかし、ドナー由来の免疫細胞が持つ白血病細胞への攻撃力(抗腫瘍免疫効果)を利用する同種造血幹細胞移植※において使用した際に、ドナー由来の免疫細胞に与える影響は不明であり、また、その治療効果は十分検証されていませんでした。


大阪公立大学大学院医学研究科 血液腫瘍制御学の長﨑 譲慈研究医、西本 光孝講師、中前 博久准教授、日野 雅之教授らの研究グループは、同種造血幹細胞移植後に再発した急性骨髄性白血病患者において、ベネトクラクス治療を行った患者群と年齢や性別、再発までの期間などの背景因子を合わせた対照患者群を比較し、臨床的な治療効果を検証したところ、ベネトクラクス治療群が生存率で有意に良好であることを示しました。



また、ベネトクラクス治療によるドナーの免疫細胞への影響を調べたところ、ドナーの免疫細胞内ではBCL-2蛋白の発現量が増え、さらに抗腫瘍免疫効果が増強していることが明らかになりました(図1)。


本研究は、同種造血幹細胞移植後に再発した急性骨髄性白血病に対するベネトクラクス治療の有効性を示唆するとともに、急性骨髄性白血病への抗腫瘍免疫効果を増強させる新規治療への発展につながる可能性があります。



本研究成果は、2024年5月14日(火)に、国際学術誌「Blood Cancer Journal」のオンライン速報版に掲載されました。





press_0528図1 同種造血幹細胞移植後の
ベネトクラクスの白血病細胞への作用機序










大阪公立大学 5月28日 



固形がんにも再発すると予後不良のガンがあります

再発に対してのいい治療法や薬が出来るといいですね




固形がんと血液がん

皮膚や臓器にできるがんは、固形がんと呼ばれ、組織に癒着して腫瘍と呼ばれる塊をつくります。

一方、白血病をはじめとする血液がんは基本的には組織に接することなく、1個1個の細胞が同時多発的に増殖をくり返します。

そのため、固形がんに見られる病期も存在しません。

もっとも、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫は白血病と固形がんの中間的な存在で、リンパ腺や骨髄にがん細胞が集まり塊をつくり、さらに悪性リンパ腫は全身への病巣の広がりによってⅠ~Ⅳ期の病期に分かれます。






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