ポイント

アンチセンス核酸医薬(ASO) ※1は、神経難病に対する新たな治療手段として期待されていますが、多くの疾患への応用には副作用のため投与量に制限があることが大きな障害となっています。

本研究グループは、核酸医薬の有効性を保ちつつ、神経系の副作用を著しく改善する新規の核酸化学修飾技術を見出しました。

本研究成果は、根治治療の難しい神経難病に対する高い有効性と安全性を兼ね備えた治療薬開発への応用が期待できます。





研究成果の意義

 本研究グループは、BNAP-AEO修飾を導入したASOが、高い有効性と安全性を兼ね備えていることを明らかにしました。

核酸医薬は中枢神経の疾患を中心に創薬開発が精力的に行われており、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病といった神経難病やアルツハイマー型認知症といった頻度の多い神経疾患に対して臨床試験が進んでいます。

また、本研究で開発した新規の核酸化学修飾はシトシン塩基配列を有するアンチセンス核酸に広く応用することが可能であり、高い有効性及び安全性の両立という臨床応用への重要な課題を克服することが期待されます。

そのため、本研究の成果は多くの神経疾患の核酸医薬の治療開発のブレイクスルーに繋(つな)がる可能性を秘めており、本研究の成果を基に有効性及び安全性を両立する核酸医薬の基盤技術が確立することで、多様な神経疾患の治療法開発の成功に結びつくことが期待されます。



用語解説

※1アンチセンス核酸医薬(ASO)
 標的とするRNA(mRNA、pre-mRNA、microRNAなど)に対して相補的な塩基配列を有した人工合成した核酸分子で、それらに標的RNAに結合して機能の制御を行う。既存の低分子医薬や抗体医薬では標的にすることが難しい細胞内のRNAを直接標的にすることが可能であり、次世代の医薬品として注目されている。


東京医科歯科大学 3月19日
 




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