今夜の放送です 




 



機能神経外科


あまり聞きなれないが、病気に伴う震えなどに対し脳や脊髄に外科的にアプローチすることによって症状の改善や機能の回復を図る、脳神経外科の一分野だ。



その道を進む山本一徹は、一度やると決めたらテコでも動かない、名前通りの「頑固一徹」。


高校生の頃に志した医学の世界に飛び込んだ。39歳にして、手の震えや歩行障害などを引き起こす「パーキンソン病」やうねるような体の動きが現れる「ジストニア」、体の一部が震え続ける「本態性振戦」を含む数々の難病を手術で治療するエキスパートとして、世界に名を轟かせる。




施す手術は3種類


脳の奥底にある神経細胞を高周波で熱凝固する「RF」。


脳内に電極を埋め込み電気刺激を与える「DBS」。


そして、メスを使わずに超音波で患部を焼く「FUS」。



いずれもわずか数ミリの脳の部位をピンポイントで狙う手術。理論と経験に基づく正確さが山本の真骨頂だ。


3つの手術法を操り、年間60件以上も行っている山本は国内でも稀な存在だ。



己の使命は「困っている人たちを片っ端から治療する」こと。


山本は世界一手術件数が多いカナダの大学病院で研鑽を積んだ。日本でも保険適用の対象となる治療だが、 "震えや動作の異常"を手術で改善する事に対して懐疑的な医師もいる。


だから各地を回って医療従事者に向けて講演したり、患者のために説明会を開いたり、インスタグラムで手術の説明動画を投稿したり...手術の合間を縫っての啓発活動にも力を入れている。




そんな山本のもとを頼ってきたのは、パーキンソン病を患う50代の男性。


病気に伴う主な症状は指先の震えや動作緩慢、歩行障害など。特に深刻なのが歩いていると体が勝手に前のめりになっていき、何かにぶつかるまで止まることができないという「突進歩行」だ。踏切で倒れて立ち上がれなくなるなど、命の危険にさらされている男性・・・。


なんとしてでも症状を改善したい。若きパイオニアの奮闘を追った。





Kazuaki Yamamoto


1984年札幌生まれ。

高校生の頃に機能神経外科医を志し、札幌医科大学に進学。


2010年から湘南鎌倉総合病院で勤務したのち、東京女子医科大学の平孝臣氏やトロント大学のアンドレス・ロザーノ氏などの世界的権威に師事してRF・FUS・DBSの手術法を身につける。


トロント大学滞在時は手術や学術活動が評価されベストフェロー賞に選出された。


2022年に帰国後は湘南藤沢徳洲会病院の機能的神経疾患センターのセンター長に就任。年間60件以上もの手術を行う。



 

 







情熱大陸
 










当センターにおける治療

多くの場合、飲み薬による治療から開始するのが基本ですが、治療効果が不十分な場合や、アレルギーや副作用等で飲み薬が身体に合わない場合など、手術治療が選択肢となります。

※当センターの治療は原則、保険適応となりますので、お気軽にご相談ください。


定位的脳手術(ていいてきのうしゅじゅつ)
特殊な装置を用いて、脳の異常部位やその関連部位に、ミリ単位あるいはミクロン単位の非常に高精度な治療を施します。これには以下のような治療法があります。


脳深部刺激療法(DBS)
脳に電極を入れて、弱い電流で電気刺激し症状を改善させる治療です。


高周波熱凝固術(RF)
電極の先端周囲の温度を上げて⁡脳の異常部位を小さく凝固し、⁡脳機能を改善させる治療です⁡。


集束超音波(MRgFUS)
メスを使わない手術。超音波を脳の一点に集中させ、⁡脳の異常部位を小さく凝固し、⁡脳機能を改善させる治療です⁡。


脊髄刺激療法(せきずいしげきりょうほう)
背中から脊髄硬膜外腔と呼ばれる脊髄のすぐ外の空間に電極を入れ、脊髄を電気刺激し、主に慢性疼痛を改善する治療です。脊椎・脊髄手術を行っても改善しない背中や腰、脚の痛み(FBSS)、複合性局所疼痛症候群(CRPS)や糖尿病に伴う痛みなどが治療対象となります。


髄腔内(ずいくうない)バクロフェン持続注入(ITB)
筋肉をほぐす薬「バクロフェン」は、脊髄の周りにある髄腔(ずいくう)というところに投与すると高い効果を発揮します。本治療では、腹部の皮膚の下に植え込んだ専用のポンプから、細い管を通して髄腔の中にバクロフェンを少しずつ注入することで、痙縮を改善します。

これにより、
①本人が動きやすくなる
②周囲の方が介助・介護しやすくなる
③痙縮に伴う痛みが改善する
といった効果が期待されます。


湘南藤沢徳洲会病院
機能的神経疾患センター(機能神経外科)