米食品医薬品局(FDA)は22日、筋力が低下していく遺伝性の希少疾患「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」に対する初の遺伝子治療薬を承認した。

治療法が限られる深刻な病気の患者に、効果が予測された段階で薬を届ける迅速承認とした。


メーカーは今後、実際に身体機能を向上させられることを立証する必要がある。卸売価格は320万ドル(約4億6千万円)。

 この病気は筋肉の維持に必要なタンパク質が遺伝子変異のため作れず、筋肉が萎縮していく。

主に3~5歳の男児が発症、20代までに肺や心臓に機能不全が起き、命を落とすこともある。

薬は「エレビジス」で、4~5歳の患者が対象。


共同通信 6月23日
 




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ロイター

US FDA approves Sarepta's gene therapy for rare muscular dystrophy in some kids
By Leroy Leo and Aditya Samal
 




米国保健当局は、サレプタ・セラピューティクス(SRPT.O)のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対する初の遺伝子治療薬Elevidysエレビディス;delandistrogene moxeparvovec、SRP-9001)を早期承認した。



サレプタ社によれば、木曜日に食品医薬品局(FDA)は4歳から5歳の歩ける小児を対象にこの治療法を承認したとのことである。
サレプタ社は当初、歩行可能なすべてのDMD患者に対する承認を求めていた。


ダグラス・イングラム最高経営責任者(CEO)は投資家との電話会議で、この治療薬の卸売価格は320万ドルであると述べた。

世界で最も高価な治療法は、オーストラリアの製薬会社CSL Ltd (CSL.AX)による出血性疾患血友病の遺伝子治療で、定価は350万ドルである。


CSL社の決定は、この治療法の有効性を疑問視する声と、数度の延期を経て下されたもので、「Elevidys」という商品名で販売される。

Elevidysは、30代以降ほとんど生存しないDMD患者の治療法を変える可能性がある。

現在、承認されているステロイドや特定の遺伝子変異に対する治療法は、症状を抑え、病気の進行を遅らせるだけである。



中期の臨床試験では、サレプタ社の遺伝子治療は、筋肉を無傷に保つのに必要なジストロフィンタンパク質のミニバージョンを産生することができたが、歩行能力や起立能力といった患者の臨床転帰を改善することはできなかった。



この治療法の有効性を確認するための後期試験が進行中で、12月までに初期データが得られる見込みである。


DMD患者に対する現在の選択肢は限られている。

特定の遺伝子変異を持つ少数の患者を対象とした4つの新しい「エクソンスキッピング」療法のうち、3つはサレプタ社によるものである。

これらの治療薬は週1回の点滴を必要とし、ジストロフィンタンパク質の短い形を体内で形成させることを目的として、遺伝子の特定の部分(エクソンと呼ばれる)をスキップすることによって機能する。

エレビディスは、DMD遺伝子のエクソン8とエクソン9に欠失のある患者には使用すべきではない、と同社は木曜日に述べた。


サレプタ社のインフラはエレビディスの上市をサポートする準備が整っており、限られたターゲット集団であっても患者への上市には4ヶ月程度かかるだろうと、イングラム氏は承認に先立ち述べている。



全米希少疾患機構によれば、DMDは世界で推定3,500人に1人の割合で発症するという。

サレプタ社のイングラム氏は、「我々は非常に成功裏に上市し、来年早々にはこの適応症の拡大を成功させるだろう」と語った。

サレプタ社のイングラム氏は、「エレビディスは数十億ドル規模の製品になる可能性がある」と述べた。

サレプタ社の治療法にゴーサインが出れば、より効果的な遺伝子治療の扉が開かれる可能性がある、と専門家やアナリストは述べている。ファイザー(PFE.N)もDMDの遺伝子治療を開発中である。

サレプタ社では126人の患者を対象とした後期臨床試験が進行中であり、患者数を拡大し従来の承認を得る上で極めて重要な役割を果たすだろう。

ロシュは2019年の契約により、米国外におけるエレビディスの商業権を取得した。臨床開発は引き続きサレプタ社が担当するが、費用はロシュ社と折半する。



Sarepta Therapeutics プレスリリース