食虫植物には大別して、パタッと蓋が閉まって虫を捕らえる装置を持つものと、粘着質な物質を分泌して捕らえるタイプとがある。前者の方が、たぶん人気があるだろう。ムシトリスミレは残念ながら後者のタイプで、スミレの仲間ではなくタヌキモ科だそうだ。

 

群落をつくらず孤立して咲いているものが多い

 

 

 

 ムシトリスミレはアルカリ性の土壌を好む、ということで蛇紋岩質の夕張岳で見ることができる。ある年、40輪くらいが咲く群落を見つけた。もともと養分が乏しい土壌で、虫を捕まえるように進化した植物なので、こんなに集まっていては生存に有利なのか、不利なのではないか―と考えたものである。ロゼッタ状の葉が地上に広がり、粘着質で覆われていて、付着した虫を消化して養分とする。

スミレの仲間。ムシトリスミレとは花弁の構造が異なる