私はこれまで、意見を異にする議員から嫌われたり野次を飛ばされたりした時、自分の言動に自信が持てなくなって挫けそうになる時などに、二人の政治家を思い出して自分を励ましてきました。一人は、日本初の公害事件と言われる足尾鉱毒事件の解決に奔走し、明治天皇に直訴しようとしたことで有名な田中正造。いま一人は、昭和初期の帝国議会で軍部の暴走やファシズムに果敢に抵抗し粛軍演説で有名な斎藤隆夫です。
先日部屋を整理していたら、尊敬する宮澤喜一元首相の文章が出てきました。赤線が多数引かれカラーペンも塗ってある大切な文章なのにすっかり忘れていたものです。
歴代の首相の中で最も聡明な指導者の一人である宮沢喜一元首相は、政界引退後月刊誌「文芸春秋」2004年1月号に寄稿し、末尾に「あとに残る方々に、ひとつだけアドヴァイスをさせてもらうなら、政治家にとってもっとも大切なことは、自分の信念を貫く勇気であるということです」と。
かつて田中角栄というそれなりに立派な政治家がいましたが、終生、お金というものから離れることができませんでした。「和」の政治にお金をまぶしたのが田中角栄型の政治でした。そのことは、自民党から自由な議論の気風を奪い、なんでもお金で解決するという悪しき習慣を残したとのことです。
多くの心ある人は、田中時代のその風潮を苦々しく思っていたものの、面と向かってそれに立ち向かう勇気がなく、宮沢喜一自身もその一人だったというのです。
自らが田中金権政治に立ち向かう勇気がなかったことを反省を込めて述べています。
では、私西尾憲一の信念とは何か。3月議会の最終日(3月13日)の知事等特別職の期末手当増額反対討論で述べているように、県議会報告にも原稿が載せてあります。日本国憲法の精神・個人の尊重、分かりやすく言えば一人ひとりを同じ人間として大切にするという考えです。
多くの県民が物価高騰や実質賃金の目減りなどで困窮しているのに、知事や議員だからと言って贅沢や無駄遣いが許されて良いはずがありません。ですから、この度の議員の海外視察費返還を求める住民訴訟に踏み切った次第ですので、ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。このことは、住民訴訟の準備書面にもしたためて提出しました。
