餅は餅屋

餅は餅屋

獣医医療の世界でも、各疾患は専門医に任せるべきだ。餅は餅屋に任せるべき。

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脳の病変は部位によって症状は様々です。脳梗塞だからこんな症状、脳腫瘍だからこんな症状など、病気によって症状が変わるわけではありません。

あくまでも、部位によって決まります。

人間の場合は脳の機能マッピングがきちんと分かっているので、かなり細かく判断できますが、動物の場合は機能マッピングがあまり分かっていません。

ということです大まかなことから話します。

まず、動物の頭蓋内に病変があった場合、もっとも多く出て来る症状は、痙攣発作です。しかし、この痙攣発作は、大脳皮質に障害が及ばない限り、理論的には起こりません。

大脳は皮質と髄質に分かれており、皮質に神経細胞が集まり、髄質には神経線維が集まっております。

我々脳外科医が手術するときも、肉眼的にこの二つは区別可能で、皮質は細胞集団なので灰色で、髄質は線維集団なので白いです。

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なので、痙攣発作が起こった時に、大脳皮質にある病変を1番に疑わなくてはいけません。

要は、小脳テントよりも上の病変を考えるということです。

痙攣発作が起こったのに、脳幹付近の病変かもとか、小脳の病変とか言っている獣医さんはあまり、神経のことはわかっておりません。
また、白質にある病変だけであれば、痙攣は理論的には起こさないので、人では被殻出血などの脳出血で痙攣を起こすことは少ないです。

なぜ、しつこく、理論的にはと言っているか?というと、実は、皮質に直接障害がなくても障害を起こすことがたくさんあるからです。例えば、脳幹の病変による圧迫で水頭症を来し、大脳皮質を圧迫する場合、白質に限局する腫瘍でも、内因性の物質を作っててんかん発作を起こさせる場合などです。でも、これは、頻度的に多くはないので、まずは王道から考えるのが妥当です。

こんな説明で、こんなに長くなってしまいました。
また、次回も、続けますね。