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下倉はまるで執事(しつじ)のように2コール以内に出てくれて、

「ご案内出来ますよ。次の土日のご予定はいかがですか?」

と、話が早かった。


「不動産は、生き物ですから。」


確か昔、車を売却した際にも、ディーラーの営業マンが似たようなことを言っていたけれど。

 多分、下倉とは四回以上は同行をお願いしたと思う。

そのうち二回くらいは大祐も付き合ってくれたが、

「休みがつぶれるから、一人で行ってきていいよ。
むっちゃんがコレ、っていういい家見つかったら、動画でも送って。
あとは下倉さんにガツンと値引きしてもらってさ」


 それから、下倉と、毎回半日は一緒に過ごすようになったわけで。

まぁ、あちらは仕事、こちらはお客なのだけれど、夕日が綺麗なマンションの内覧にまで付き合ってもらったりして、なんだか、いつからか、そうだ、自販機のジュースを手渡したあたりから、デートみたいだなって少し可笑しくなったのを覚えている。

そんな麦をよそに、下倉はどこまでも真面目で、用途地域やら変動金利の話なんかを本日も熱く語ってくる。

おでこが広くて、もしかするとそのうちハゲてしまうかもしれない下倉の顔は、割と麦のタイプでもあった。

きちっと体格に合うサイズのスーツを着て、髪にもシャッと整髪料をつけて、一回目の時にはなかった、黒縁眼鏡なんかかけて。

 家探しというのは、人生の決断であるからこそ、その営業マンとは、やはり夢や理想、人生設計や老後の事、そんな真面目な話をしてしまうものだと思う。


西とは違って、下倉には奥さんも、子供もいた。
だからかはわからないけれど、彼には妙な安心感さえあった。


だからもしかすると、話し過ぎたのかも、しれない。

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