嘔吐 


けだしその反応は正解である

禁欲的な中に淫らな眼球を埋没させ

潮の満ち引きのように

水平線ギリギリの私のまだ

滑らかなほうの内側で

浮遊させてくるには まだ若く

航海の途中で顰(しか)める様に

眼を瞑るきみは 遠く遠く罪深く

夕陽を目指すには大いに風が足りず

(なび)かないきみのワイシャツの白い旗

共にと誘うつもりはなかったが

しがみついてしまった

出港の随分と前から船酔いしていたのだ

きみに きみの陸の様な沼に

甲板の先端で両手を広げたあとを思うと

嘔吐を繰り返すような不思議な色の

深海魚の食卓

それを囲む想い 囲い込む想い

月日を稼ぐには嵐を避けられず

辿り着く港の光は幻である


転覆の結末を祈る

このまま