アダム・クーパー出演「兵士の物語」 アメリカ人プロデューサー ゲーリーのひとりごと

Hello ! みなさん、初めまして!僕は日本在住30年近くになるアメリカ人のゲーリーです。この「兵士の物語」のプロデュースをしています。このブログではその舞台裏を紹介していきますね。Enjoy!


英国ロイヤル・オペラ・ハウス版アダム・クーパー出演「兵士の物語」が、
2009年9月から東京と大阪で世界初の引越公演!!

出演: アダム・クーパー、ウィル・ケンプ、マシュー・ハート、ゼナイダ・ヤノウスキー
演出・振付: ウィル・タケット
音楽: イゴール・ストラヴィンスキー
原作: アファナシェフ
脚本: ラミューズ

東京公演:2009年9月11日(金)~16日(水) 新国立劇場中劇場 8回

大阪公演:2009年9月20日(日)~21日(祝/月)厚生年金会館芸術ホール 3回


CLICK !  「兵士の物語」日本公演オフィシャルサイト

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(遅ればせながら)公演間近の様子

ご無沙汰しています。東京公演、おかげさまで大好評です!でもこのブログの更新が遅れてしまいました。公演間近の様子をアップしようと思っていたんですが、あまりにも忙しくて・・・ また最近コメントをいただいていたのに、それもアップできずにすみませんでした。ちょっと前後してしまうんですが、今日は公演前の様子をつづった話を紹介しますね。(ゲーリー)


★ ★ ★ ★ ★


今週はかなり大変なスケジュールになっています。ちょうど今(10日)、いわゆるゲネプロ(最後の全体舞台稽古)をやっているところです。モニターを見ながらこのブログを書いています。


俳優以外のスタッフたちが東京に着いたのは7日(月)、ようやく本格的に公演の準備が始まりました。ロンドンからの長いフライトに加え、ヒースロー空港で飛行機の中で2時間半待たされたようで、税関から出てきたウィル・タケットやティム・マレー等6人の顔がさすがに疲れた様子でした。でも本来なら余裕で間に合うはずの制作ミーティングに、ホテルにチェックインしたら直ぐに行かざるを得なかった。すでに部屋に入っていた日本人サイドは通訳3人を入れて25人ぐらいだったかな。舞台監督、衣装、音楽、照明など、それぞれ関係者が集まっていました。ミーティングが始まったら、疲れていたはずの外国人スタッフは急に夢中になって、元気が完璧に戻った感じでした。かなりきついスケジュールで、みんなが同じ時間帯に同じスペースの中で、それぞれの仕事で動かなければならないので、やはり前もってしっかりと話し合わないと、意見がぶつかり合ったりして仕事にならないですからね。


次の日、朝一番で劇場に入って、舞台の作りこみを始めました。やはり照明が一番大変なようで、東京にいる担当者と、ジュード・ロー主演の「ハムレット」のためにニューヨークに行っている照明デザイナーのニールさんとは、時々連絡を取り合って色々な問題点を相談していました。セットは、あちらにはシャンデリアをつるし、そちらには椅子を置き、こちらにはオケピットを作ったりして、少しずつイメージが出来てきます。あちこちで仕事をしています。音声を調整すること、(王座に使われる)椅子が古くに見えるようにペンキを塗ること、衣装やカツラをしっかりとチェックすること・・・ たった75分ぐらいの短いお芝居なのに、こんな複雑な準備が必要なんですよね。そんな中に、ウィル・タケットが劇場中を走り回って、ジョークを飛ばし笑いながらも全てを厳しく見回っている。ものすごいエネルギッシュな人だなーと思いました。


9日の水曜日に、ついに俳優たちが東京到着。みんな久しぶりに大好きな日本に来たので大喜び。僕はゼナイダとマシューに会うのは初めてですが、2人ともすごく気さくで、いっしょにいて楽しいタイプの人たち。ほかの4人とも個人的にも友達同士なので、また一緒に仕事が出来ることに対しても非常に楽しみにしているようです。前日にスタッフが着いた時とは逆に、彼らは30分も早く到着したので、ホテルに着いたのは11:30前でした。仕事は16時までないので、ゆっくりと休むことが出来ました。そこで「テック」、つまりテクニカル・リハーサルに入りました。俳優たちが舞台上で大まかな動きをしているところで、照明や音声などを微調整する作業です。実際には踊らないのですが、時間がかなりかかるだけに、十分にエネルギーを使います。スタッフも全員、それぞれの仕事を一生懸命やっています。出来上がったセット(それもすご~い出来!!)の上に立っている俳優たちが、台詞を言ったり簡単な動きをしたりするのを見て、初めて長く見ていた夢が本当に実現されるんだ!と思いました。

(ゲーリー)


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東京公演開幕!指揮者のブログ

東京公演開幕!おかげさまでたくさんの方にお越しいただいてます。大好評のようで、僕もホッとひと安心です。でも忙しくてなかなかブログを書く時間がないんですよ。そうしたら恥ずかしいことに、指揮者のティムさんが自身のブログで先に日本公演のことを書いてくれました。この公演をとても楽しんでいるみたいで、非常にがんばってくれています。僕も負けずに書くことを約束します。

以下ティムのブログです。 (ゲーリー)


★ ★ ★ ★ ★


指揮者のブログ2


前回の更新から本当にいろんなことがあったので、どこから書き始めたらよいか分からないほどです。日本公演は2日前に幕を開け、以来、めちゃくちゃ忙しいけど充実した日々を過ごしています。


まず先週の火曜日、今回の公演で私の指揮で演奏してくれるミュージシャンと顔合わせをし、2日間とても充実したスタジオリハーサルを行うことができました。当初予想していたより日本語でのリハーサルは、はるかにやりやすかったのですが、それは通訳のミヨコさんの素晴らしさに負うところが大きく、彼女は、「2番目の5/8小節は、1拍目から直ぐにフォルテで演奏してください」というような私の指示を、とまどうこともなく的確に訳してくれます。またすべての指示を訳してもらわなければならないため、自分の言いたいことをいつもよりはるかに簡潔に言い表すようにもなりました・・・ また、ストラヴィンスキーの演奏にとても役に立つ「2」(ニ)と「3」(サン)を日本語で覚えました。


木曜日には劇場入りしましたが、音響がとても素晴らしいのに驚きました。1200席の規模の劇場でわずか7名の演奏者で演奏するのは問題になる可能性もありましたが、音がとても自然でよく響くので、まったく問題はありませんでした。


ショーは本当に素晴らしく、パフォーマーも秀逸で、このような公演に参加できることは本当にわくわくする体験です。


私の背後に座っていらっしゃる観客の方との、とっても笑えるエピソードをひとつ手短かに紹介しましょう。ショーをご覧いただいた方はお分かりだと思いますが、ショーの中で私は、単なる指揮者以上の役割を担っています・・・ 実は、私も劇の登場人物のひとりとして、衣裳とメークアップをし、舞台上に設えられた劇場の、酔っ払いの救いようのない指揮者として、ステージに千鳥足で登場するのです。酒をしこたま呑んでよろめきながら、ナレーターのウィル・ケンプに命じられて、オーケストラピットに転げ落ちるように降りていくという設定なのですが、この芝居には私のあるだけの想像力と演技力が求められるのです。ところが、ショーが終わった後、私の直ぐ後ろに座っていらっしゃった観客の方から、「メークをしてらっしゃるんですか?」と尋ねられたときには、正直、ちょっと狼狽してしまいました。確かに私は、濃い黒のアイライナーを引き、薬中みたいにとてもとても青ざめて見えるグリーンのアイシャドーも入れているのです。それで、その観客の方には、芝居の一環としてそのようなメークをしているのだと説明し、いつもはこんなメークはしていないと言いました。すると、「あら、あなた本当に指揮者なんですか?」と逆に聞き返されてしまいました。


それでは、みなさん劇場でお会いしましょう! 指揮者(本当ですよ!)のティムより



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指揮者ティム・マレーのブログの紹介 英語版

前回のブログで紹介した指揮者ティム・マレーの書いた文章の原文です。

英語的にもおもしろい表現がたくさんありますよ。 Enjoy !



ダウン ダウン ダウン



I've just returned from a wonderful run-through of The Soldier's Tale, in an

underground studio in central London, on the last day of the English summer.

It's been a great pleasure this week to meet the amazing cast, and of course

to start another project with Will Tuckett, having spent two winters conducting

his pieces at the Royal Opera House, and quite a lot of time at each other's

weddings this year... I always enjoy seeing shows up close and personal, in the

rehearsal room; we'll now have to see how this one transfers to the large theatre

in Tokyo.


Naturally we spent some of today discussing speeds; I brought in the 1961

Stravinsky recording to see if it might be better to dance to than the one they

have been using, which I thought was often too fast, especially for a big theatre.

It certainly has amazing playing on it, particularly the violinist. It's really important

for me to get to know how the dancers use the music, so that my decisions are

not purely musical. I'm sure we'll find the right speeds so that dancers,

choreographer and conductor are all happy! And it isn't just a question of speeds;

for example if the Pastorale is phrased well I'm sure it will help Adam and Zen

with their duet.


I was quite obsessed with the Grand Chorale in Soldier's Tale when I was at

University. It is the most astonishing piece of music, often forgotten because of

the other, more rhythmical, folky numbers. I remember reading a very mind-

expanding harmonic analysis of it, I think in Richard Taruskin's book on Stravinsky's

early works. I love the way it makes references to Bach 4-part chorales, but is

utterly, mysteriously, Stravinsky's own. It comes at a profound moment in the

story, and there's one phrase in particular near the end that makes the hairs on

the back of my neck stand up...


Elsewhere I am just finishing a run of La Boheme, which I love - and is musically

about as far away from Soldier's Tale as it's possible to be! - and before that I was

conducting a lot of contemporary operas. However, there's something about

Soldier's Tale that makes it a particular pleasure - it's from that amazing period

either side of the 1st World War when so many of the seeds of 20th and 21st-

century music were sown. It is so good for being limited to 7 players; there's an

edge to the textures, something of the village band about it. And how Stravinsky

orders and re-orders his little musical cells is a constant source of pleasure.


Oh, and I can't wait to see Japan for the first time!


Enough for now, more anon.


Tim


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