「令和5年度やまなし介護感動ストーリー大賞」準グランプリを受賞させていただきました。また、応募したエピソードが漫画になりました。今回受賞したエピソードは、どうすれば「その人らしく」過ごしてもらえるのか?利用者さんの「○○したい」を叶えることで、「自分らしい」を感じていただけるのではないか?と考え、取り組んでいる「夢レク」の中のひとつのエピソードです。

 

最後の野球観戦」中村昌史
認知症グループホームに入居した当時94歳の男性利用者Mさんは巨人が勝つとご機嫌、負けると不機嫌になるほどの熱狂的な巨人ファンでした。
Mさんの娘さん家族も大の巨人ファンで、おじいちゃんを東京ドームに連れていきたいとの思いがありました。それを知った介護士Nは、家族と一緒に東京ドーム観戦を提案したところ、家族は快諾、すぐにチケットや特急券の手配をしてくれました。当時要介護2で心不全を患いながらも杖で歩行していたMさんの主治医に相談し許可をもらい、当日を迎えることになりました。
ご家族とは東京ドームで待ち合わせることになり、介護士Nは、最寄りの駅から電車でMさんと一緒に東京ドームを目指しました。
Mさんは巨人の中でも特に阿部選手のファンで、観戦中は家族が用意していた阿部選手のユニフォーム、リストバンド、マフラータオル着用で応援していました。その阿部選手がホームランを打った時、Mさんが大喜びでタオルを回していたそうです。介護士Nはその時、介護の仕事をしていて良かったと感じたそうです。
観戦から数日後、面会に来た娘さんから「おじいちゃんは、これでいつ死んでもいいです。本当にありがとうございました。」と言っていただけたことは今でも鮮明に憶えています。