この時の騒動について、出所後の彼から聞いた話です。
面会で彼と私が大喧嘩になったことは、すぐに先生方の間に広まったそうです。
最初のうちは、会う人会う人(先生方)に、怒らせたんだって?喧嘩するなよーくらいの笑い話にされていたそうですが、事の次第が広まるにつれ、事態は深刻になっていったようです。
立会の刑務官も、伊達に記録を取っている訳ではなさそうです。
何しろ、刑務所側が手紙を入れ違えたとしたら大問題です。
刑務所内にピリピリした雰囲気が漂い始め、間もなく事情を聞かれるための面談に呼び出されたそうです。
自分も提出の際に確認したつもりだけど、今となってはどっちの間違いだったのかわからない
自分が入れ間違えたのかもしれないし、そちらが間違えたのかもしれないし
彼はそう言うしかなかったと言います。
(引受人を続けてもらうことは)大丈夫なのかと聞かれて、たぶんダメでしょうねと言ったそうです。
申立てをするかとも聞かれたらしいのですが、めんどくさいのでいいですと答えたそうです。
私は私で、もしかしたらそのうち『◯◯刑務所で手紙の入れ違い!受刑者申立て!』みたいな報道が出るのではと思っていたのですが、彼が申立てをすれば本当にそうなっていたかもしれません。
もういいです、と彼が言ったからおおごとにならなかっただけです。
今もどっちが事実だったのかは分からずじまいですが、これが刑務所側のミスだったとしたら、本当に大変な話です。
結果的に私はこの騒動が元で引受人を降りたことになりました。
私たちの場合はたまたま復縁しましたが、本当にこれで全ての縁が切れることもあり得た話です。
彼はまた天涯孤独な身になるところでした。
1人の人間の人生を左右する重大なミスです。
いえ、彼が提出した2通の入れ違いで済んだからまだ良かったのかもしれません。
全く別の人の手紙が入れ替わっていることなどあったとしたら…
本当に怖ろしい話です。
このようなミスが絶対になくなりますように。
申立てをしていた方が、広くその後のためになったのではないかと思いますが、もう何年も経っていますのでどうしようもありません。
ちなみに、この時の検閲担当の刑務官は、この後すぐに異動になってその刑務所からはいなくなったそうです。
たまたま異動の時期と重なっていたのか、左遷だったのかはわからないと彼は言っています。
それからこの後、彼は一類まで上がりましたが、懲罰を受けて三類まで落ちたそうです。
それも次の進類の時期にすぐ二類に上がったそうで、普通はそんなにすぐ進類できるものではないから、もしかしたらこの件で貸しを作っていたせいかもしれないと笑っていました。
それも、真偽のほどは不明なままですが。