この回でまず突っ込まれるのは、泉ピン子さんと篠田三郎さん、赤井英和さんの三角関係みたいな展開……。

 

泉ピン子さん演じる主人公の主婦が浮気をした末に浮気相手を誤って階段から突き落としてしまい、刑務所へ。

という話で、それだけ聞けばまぁフザケンナって感想になるのも無理はないんですが。

 

ただ、主人公の家庭事情を見ると、仮に浮気自体を踏みとどまれていたとしても、遅かれ早かれ熟年離婚に至っていたのではないか……とも思ってしまいますね。

「浮気される方が悪い」みたいな理屈は決して好きではないですが。

義父の介護を全うし、夫が失業しても嫌な顔もせず励まし、率先して働く決断をする。

そんな妻に対し、夫のあの態度は無いんじゃない?と思いますから。

 

休まる暇もないぐらいの生活をし、家庭でも居心地の悪い思いをしてきた主人公ですが、それでもいざ刑務所に来てみると、やはり外での生活と服役生活の不自由さは比にならないという事に気付くのですね。

これまで当たり前だと思っていたようなささやかな自由が、刑務所の中では許されない。

 

同時に、主人公の家庭でも、これまで当たり前のように家事をつとめてきた母親が居なくなる、という事態となるわけですが……。姉・弟の母親に対する感情が対立していたのも印象的でしたね。

 

姉の方は、母親に対して「気持ち悪い」「軽蔑」といった感情が強く、全面的に父親の味方でありたいという思いが強かったんでしょうね。実際には、父親の味方というよりも、自分が許せないからこそ母親を排除する姿勢に便乗するような、そんな感じ。

 

姉の気持ちも分かるけれども、それを弟にまで押し付ける所は考えものではありました。弟の方が、客観的に物事を捉えられていたわけで。

姉は父親の肩を持つ姿勢を貫いたつもりが、それはあくまでも「自分にとってそうあってほしい」という自分本意のものだったという事が、よりによって父親の亡き後に分かってしまう。

夫婦間の事や父親の本心までは知ろうとしていなかった、という無念というか。

 

弟役は、当時に金八先生の第7シリーズで注目されていた濱田岳さんでしたが。なんていうか、面会シーンとかで思ったんですけど、細かい仕草なんかにも凝っていて、だけどなんとも自然で、演技上手いなと。

 

この回の雑居房メンバーは、泉ピン子さんと熊谷真実さんのほか、三浦理恵子さんや高田敏江さん、藤吉久美子さんでした。

 

三浦理恵子さんの演じた女囚が、なんかぶりっ子&おバカ系で可愛かったんですよね。

 

で、この回では、雑居房内で連続盗難が起こるというハプニングがあるんですが。実は、よく見ていくと誰が犯人かが分かってしまうというそういう演出もあってなかなか面白い。

この騒動の中で思うのは、犯人が判明してからもみんなよくそんな簡単に許せたな……と。結構、拍子抜けでした。

 

それにしても、あれだけプライバシーのないであろう空間の中で、よくもバレずに連続で盗みを働き続けられるなぁと思いますよね。おせちのエビとか。いつ、どうやったんだろうって。

 

あとは、個人的に布団の上で食べ物を扱うシーンは…ちょっと、、、う”……と思っちゃいます。