この女子刑務所シリーズ、たびたび重い話も出てくるんですが、初めに近い回では意図的に所々で笑いを取ってるんですよね。この回も面白いなぁと思ったし、他シリーズの中では一番面白いかもしれない。

 

一応、全シリーズ通して泉ピン子さんが主演なんですが、この回では岩崎ひろみさん演じる若い女囚の月島麻希が事実上の主人公でした。彼女目線で、ピン子さんが演じる太田喜美子の「性悪クソババア」っぷりが全開するのなんの。

 

ストーリー全体としてはこの「性悪クソババア」の傲慢っぷりに振り回される女囚たち、みたいなドタバタ的な感じではありますが、この太田喜美子という女性の生涯において様々な事を考えさせられる話でした。

農家に嫁ぎ、事件を起こし、長期服役を経て出所し、間もなく生涯を終える事となった彼女にとって、果たして幸せだと思える時があったのかどうか。

 

刑務所の中では性格の悪さが際立つ上に、犯した罪も複数の「殺人」にくわえ「銃刀法違反」と重く凶悪犯という扱いともなる彼女ですが、これらの重罪を犯すまでの背景には同情するものがありました。

 

一方で、他の女囚たちに関しては罪こそ軽いけれど、欲に目がくらんだ軽率な考えの末のものであったり……と、そういう構図も、もしかしたら服役生活の中で彼女を歪ませる一因になっていたかもしれないとさえ考えちゃいましたね。

実際に、女囚たちの罪状に対して片っ端からチクチク突っかかっていたし。

 

話は変わりますが、この回では向かいの部屋の女囚たちのやり取りもたびたび描かれてるのも特徴で、その部屋には東てる美さん演じる女囚が。ヤクザの奥さんで背中に般若の刺青が入ってるんだけど、人柄自体はそこそこいい感じで、むしろその部屋ではみんな和気あいあいで楽しそうなのも印象的なんですよね。

 

まぁ、終盤ではその部屋にてちょっとした事が起きるわけですが……

 

ネタバレする気はないので語り過ぎには気を付けますが、東京ボーイズの慰問も見どころ、というかその慰問シーンこそが向いの部屋でのちょっとした事が起きるきっかけになるターニングポイントかもしれん。もっと言えば、かしわ餅が(おっと)。

 

同作で雑居房メンバーを演じたのは、泉ピン子さんや岩崎ひろみさんのほか、洞口依子さん(インテリ系)、増田未亜さん(お水系)、宮下順子さん(大阪のおばちゃん)、アジャ・コングさん(見かけによらず気弱…)。この回では、いつもありがちな「婆ちゃんキャラ」は居ませんでしたね。向かいの部屋には、居ましたね。演じていたのは、大路美千緒さんや大方緋紗子さんで、なかなか味がありました。