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第一章 自己消失 1-35 真相(後編) ―小説

それは・・・疑問に思ってはいた。弓端さんの家には母親の気配のするものは何もなかった。


靴箱にも弓端さんのお母さんの年代が履きそうなものはなかったし、

弓端さんの両親の部屋はシングルだった。

では、弓端さんの母親は死んだのかと言えば仏壇はなかったし、第一写真すらおいていない。

どこにも母親の影はない。

なら、離婚したとか何とか、そう思っていた。


でも、今考えてみれば、弓端さん母親も知らないってどう言うことだったんだ。

ツクモ神に殺されていないとする。
なら、・・・母親とは疎遠になっているから、そう言う筈だ。



「さて、君。気付いていないようだから言うが、君が見たという井戸。

そう、死体が詰まっていたという井戸だ。

あの中に何人いたか、覚えているかい?

そう、6人以上は入っていたのだろう?

では聞くが、あの屋敷に六人以上も世話をする人間が必要かい?

いくら大きいといっても宿屋ではないのだ、全部の部屋をフル回転させる必要はあるまい。

ならば6人でも多いと考えるべきだろう。

多すぎるのだよ。

実に多すぎる。

あの異常な遺体の数の多さは反則的だ。」



「なにが言いたい。

6人以上いたっていいだろう?

お手伝いさんをどれくらい雇うかは弓端さん次第だ。」




「そんなレベルじゃない。

全然把握できていないようだね。

まだきづかないのか?

なら、質問の切り口を変えよう。

知っているかい。

君の見たあの井戸は、典型的な丸井戸なのだよ。


丸井戸は、一般的に10m~20m掘る。


雨水をためておくだけならもっと浅くて済むが、あんな蔵の近くでは雨水も溜まりにくいだろう。
実際、20m以上あった。


さて質問だ。


横にした20mは大した距離ではないが、縦にするとずいぶん変わる。

大した距離だ。

そんな遠くにある井戸の底、

まして、月明かりがあるとは言え、

周りに街灯もない真っ暗闇の中、

君は本当に井戸の底にいた遺体を『6人まで正確に数えることがどうしてできたんだ』?


ついでに君の視力は?

両眼視力で結構だ。」


「1・3だ。」


「ならば無理だな。

でも、深戒、君は数えることができた。

どうしてか?


君の見た死体はせいぜい5メートルほどの位置にあったからだ。

暗闇で遠近感に錯覚が生まれるのは自動車教習所で習ったとおりだ。

このくらいは最近なのだから覚えているだろう?

さて、では5メートル差し引いて底まで15メートルの間に何があったか。

当然、水ではない。

君の言う通りだよ深戒。



ぎっちり『詰まっていた』んだ。




15m分の死体が。



ほら、そんなにお手伝いさんが必要か?」

殺したって言うのか?

弓端さんが、古矢さんが、なら、死体の中に、弓端さんのお母さんも・・・・。



「いや、違う。

なお悪い。

彼らがやっていたのは魔法の研究であって、虐殺じゃない。

彼らは、魔法使いであって殺人鬼ではないのだから。
 


中国魔術に、『蟲毒』と言うものがある。


壺の中に沢山の虫を入れて、地中に埋める。

すると、壺と言う密閉空間で虫は生存競争を行う。

他の虫を喰い、より強いものが生き残り最後の一匹になる。

その虫の毒は強力な魔法として作用し、呪いとして昇華する。
弓端家と古矢家はね。

それを人間で行ったのだよ。
蔵と言う閉鎖空間でね。

何年も何年もかけてあの蔵の中では人間が人間を喰っていたんだ。

その残骸をお隣の井戸に捨てていたというわけだ。



そして、最後に残った虫は誰だったか・・・実に運がよかったんだろうね。



『お母さん』だよ。


そう、君があの蔵で感じた異質な気配は弓端さんの『お母さん』の潜む気配だったんだ。


きっと、今もいるだろう、


存在自体が呪いとなって、


きっと今日も人肉を求めているだろう。


私は魔法使いを殺しはするが、『魔法』を殺すなんてはっちゃけた事はできないからね。」



・・・・・・



もう、思考は動かない。


どこまで、どこまで世界は残酷なんだ。



愚かすぎる。


真黒すぎる。


醜すぎる。


臭すぎる。



「正直、君に種明かしをするつもりで来たわけじゃないんだ。

ただ一言『ありがとう』を言いにきた。

君は、魔法使い狩りに一役買ってくれたからね。

相手は千年以上研鑽を積んできた魔法使い中の魔法使いだ。

上位(ハイエンシェント)ほどではないとは言え、十分に化け物すぎる。

並の魔法使い狩りでは返り討ちだ。

いや、それより酷かったかもしれない。


なにしろ、彼らには『お母さん』がいる。


普通にやれば、沢山死んだだろうね。」


「だから、ツクモ神を・・・。」


だから、ツクモ神を送り込んだのか?

魔法が使えるツクモ神を。


「おいおい、魔法使いではないんだ。

ツクモ神を人工的に作るなんて私たちには不可能だ。

あの人形はもともと古矢のものだ。

捜査によると、古矢家に昔からあった古い人形で、実に大切にされていたそうだ。

特に当時赤ん坊だった古矢惣一は、それを手放さないほどに溺愛していた。

あまりに溺愛するあまり、世界を自分とくるみ割り人形だけにした程だ。

だが、当時赤ん坊だった古矢はその危険性を知らなかった。

ツクモ神を知らなかった。

人形は、人間に愛されるのに飽きてしまっていた、

むしろ人間になり替わりたいと思うようになっていたんだ。

あの人形が、そういう風に狂うには溺愛されすぎたし、古すぎたのだろう。



結果として、古矢は自分の中身である『個』をくるみ割り人形のみで構成してしまった。


それはつまり、人形に乗っ取られるということにすら気がつかなかったんだな。

古矢は、空っぽになって人形の人形になった。

それから、ずっと古矢は人形だったんだよ。

月日は立ち、人形『古矢惣一』は一人の女性に恋をする。


そう、弓端御世だ。


あの人形の思いは本物だったんだな。


弓端家に仕えるため、お嬢様に少しでも近づくために必死だったんだろう。

君は、馬鹿にしたが、彼の一途さは愛に違いなかった。

年月を重ね、

彼はあらゆる事をこなせる様になった。


人形『古矢惣一』は弓端家に正式採用される事となる。


ふふ、それがまさしく『魔法使い狩り』が、


―私が、ずっと待ち望んでいた狩りのチャンスだったよ。」


「つまり、お前達は・・」


「ただ、知恵の実を食べるように勧めただけだ。



お嬢様のそばにいる

―それに満足できなくなったあの人形に。



まさしく、エデンの園であの蛇がしたように、『個』を奪う魔法を教えただけだ。


だけどね、ここで問題があるのだよ。

弓端や古矢は人形が無力化する、しかし、そそのかした人形自身の始末には私ではどうしようもなかった。

ツクモ神は肉体が墨になっても精神が死なない限り、死にはしないからね。


そこで君の出番だ、深戒櫃代。


いや『憂鬱多弁(ブルーブルー)』。


史上最高の人数を殺した殺人鬼。


よりにもよって『私はある』(ヤハウェ)を殺すことで、

それを心の支えにしていた地球上の大半を占めるユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒、


もろもろを根こそぎ『大虐殺』した張本人。

ダブルカラー。



君を、使った。

Aliceには、悪いが、彼女を咬ますことで、君が僕をあまり意識しないように仕向けた。

きっと彼女なら君に仕事を預けると踏んでいたしね。

そして、すべてうまくいった。

本当にありがとう。『深戒櫃代』。



大嫌いな私のために本当によく働いてくれた。」




・・・・・


最初から茶番か・・・


弓端さんがして来たことはわかった。


弓端さんは善良じゃなかったかもしれない。


でも、弓端さんにも古矢さんにも僕は心から触れてしまった。


僕にとっては、やっぱり二人はあの二人だったんだ。


害悪じゃなかった。


嫌いじゃなかった。


なのに、僕は二人を殺す計画に乗ってしまっていた。


二人を守るためにそうしたのに、実際には二人を殺すために動いていた。


僕は、殺人鬼だ。


死戯は、殺人鬼の中の殺人鬼だ。


この呪いは、たやすく人を不幸にする。


たやすく、僕の手を血みどろに変えていく。




「ふふふ、可愛いな。私は君が落ち込んでいるときが一番好きだ」



僕は、柄原をじっと睨む。



「怖いな。

けれども、被害者面はするなよ。

わかっているのか?


古矢は、あのツクモ神だ。弓端さんの愛する人形『古矢惣一』を殺したのはほかならぬ君なんだから。」



せっかく、両想いだったのに・・・と、柄原は続ける。



「さて、私は君に殺される前に帰るとするよ。

それとも、この場で殺すか?

殺人鬼であることを容認して、本能のままに私を殺すか?

君にはできないね。



君は本当に優し過ぎる。」




柄原は、立ちあがる。伝票を持っていった。



「ここは奢らせてもらうよ。

大好きな深戒が、私のために働いてくれたからな。

ふふふ。


そう言えば、弓端さんの『お母さん』。

そろそろ、おなかがすいた頃だろうな。

だれも、あの蔵に閉じ込めてないとすると外に出たかもしれん。



どうする?深戒。」



あいつは、それだけ言って、この店を出た。



僕は、一人ポツリとつぶやいた。






「僕はお前のことが大嫌いだ、柄原。


 ・・・・お前はいつだって僕をいじめるんだ。」




第一章 自己消失 1-34 真相(前編) ―小説

柄原が指定したのはごくごく一般的ファミリーレストランだ。



そこで会う約束をした。



「やぁ、深戒。それとも、今日は『憂鬱多弁(ブルーブルー)』と呼ぶべきかね。」


「どっちだっていいよ。どっちで呼ばれたってお前なんか大嫌いだ。」

「つれないなぁ。」



柄原は、寂しそうに言う。

悲しそうに言う。


「お前の仕業だろ?柄原。わかってるんだよ。」

「まぁ、そりゃね。私だってチャットで知り合ったなんてのは、無理があるなと思ったよ。

彼女を殺した時も偽装しなかったしね。」

「ああ、まるで隠そうともしないよな。その時点で最悪だよ。」

「これでも良心から、なんだけどね。」



なら、お前の良心が腐ってんだろうさ。
良心は腐らんよ・・・と、柄原は言う。



「なんで殺した?お前に殺す理由なんかないだろう?」

「発想が貧困だな、君は。

殺したんだ、だったら『理由なんて明白だろう』。

私を誰だと思っているんだい?

私が人を殺す理由なんて一つしかないじゃないか。


なにせ、私は『魔法使い狩り』なんだから。


私が殺したのは、彼女が魔法使いだったからだよ。
簡単な理屈だろ?」


魔法使い?
弓端さんが魔法使いだって?
そんなことはあり得ない。

あり得るはずもない。
そんな事は、一番初めに確認した。

全快した弓端さんとデートした時もそんな気配はなかった。
それは勘違いだ。


「言っておくけど、勘違いではないさ。

勘違いであるはずはない。

なにしろ、弓端家、古矢家の双方ともこの国ではずい分と格式ある古参の魔法使いの一族だ。

その歴史たるや千年を超える、

骨の髄まで魔法に浸かった、魔法使いの中の魔法使いだ。

まぁ、捜査をして初めて気づくことだからね。

そんな事を君にいっても、やはり荷の重い話だったかな。

君だって今昔物語は読んだことがあるだろう?

読んだことがなくても、学校かどこかで読まされているはずだ。

今は昔・・で始まる、あの小話集だよ。

一日二食で長時間働いていた貴族集の男どもに対して女たちは、あれで暇を潰していたのだろうね。

いつの時代も、文学とは女と寄り添うものなのだよ。

妄想好きの人種だからね、女は。いや・・・男ほどでもないか。

まぁいいさ。

その平安時代末期に編纂された全31巻あるうちの一つだよ。

君だって話としては知っているだろう?

赤子を取り合う話だ。

ちがうちがう、大岡裁きじゃない。

それは江戸時代だ。

本当に勉強したことあるのか?

ずいぶんと端折るが、ようは一人の赤子を、全く同じ顔同じ声同じ姿の女が、

自分こそ本物の母親だといって

奪い合いをしていたのだ。

もちろん、一人は本物、もう一人はおそらく母親に化けた妖怪か何かのたぐいだろう。

怪異だね。

さて、そこに居合わせた貴族の男は困ったわけさ。

なにせ、その女達は何から何まで同じなのだから。

そこで、彼はある『魔法』を実行したのさ。

何をしたかって?刀を、掲げたのだよ。

太陽の光で瞬くその刀身の力で退魔という『魔法』を行ったのさ。

そう、古来日本では武器あるいは武術とは、魔法だったんだ。

刀は特にその典型だね。

古い刀なんかはそれだけで、世界を切り捨てる極めて強力な魔法だ。

まぁ、神道の家系である君にこんなことを言うのは、馬鹿馬鹿しいことかもしれないが、

神楽にだって小刀があるだろう?

あれと同じさ。

当然のことながら、刀以外の武器にだって退魔の力が宿ると信じられていた。



そう弓矢もその一つだ。



弓の弦の音は、鬼の心臓を穿つと言われる。
矢は、破魔矢として有名だろう。
そう言う一族なのだよ、


故に彼らは   『弓端』 で 『古矢』 なのだ。


千年以上にわたり未だに魔法とその姓を捨てられず、

誰にも知られず研鑽を積んできた彼らを魔法使いと呼ばないのは逆に失礼な話なのだよ。

わかるか?

だいたい、あんな防御力の高い屋敷など一般人には不必要だ。

君が感じたとおり研究施設だったんだ、あれは。」


わかった。

歴史があるのは認める。

でも、だからどうした。

仮にそうだとしても、彼らには魔法使い特有の気配がなかった。


それは、 彼らが魔法使いとしてはとっくに終わっていたってことだろう?


続かなかったってことだろう?


失伝していたってことだろう?


枯れていたってことだろう?



「何を聞いていたんだ、君は。

私は言ったはずだ。

彼らは千年以上にわたって研鑽を積んでいたと。



彼らは、終わっていないし、


続いているし、


失伝などしていなければ、


枯れたなんてこともありはしない。


彼らが、その気配を発していなかった理由は簡単だ。
彼らが、『個』を失って、未だ回復していなかったからだ。
彼らは魔法使いとしての『個』を失っていただけで、

それはいずれ回復するだけの話だ。

ならば、私が殺すのはもはや当然だろう。」



「だから、どうしたって言うんだッ!」




魔法使いかどうかなんて関係ない、弓端さん家族と古矢さんたちが何をしたって言うんだ。

弓端さんはお父さんと仲良く暮らしていたし、

古矢さんなんて最初からツクモ神の被害者だ。



「はぁ、どうやら、君は単純に身内の死に怒りを覚えているようだね。

うん、まぁわからんでもないよ。

君は善良すぎるし優し過ぎる、まったく、殺人鬼にしておくのはもったいないくらいだ。

でもね、だからこそ、君は錯覚しがちだ。

世界は君ほど善良ではないし、他人なんて特にそうだと思うよ。」


「どういう意味だよ。」


「聞いたそのまんまの意味だ。

弓端、古矢、両家ともはっきりいってイカレタ連中だよ。

まさしく害悪だ。


君、弓端家の弓端御世の父、弓端幸一はしっているね?」


そりゃ、まぁ。


「では、母は?」




第一章 自己消失 1-33 被害者、加害者、そして・・・・・―小説

弓端さんの死因は、魔法による物ではなかった。

かと言って、常識的な死に方ではなかった。

容赦なく頭をつぶされ、陥没した頭がい骨からその中身があちこちに散らかされていた。


首から下も無事ではない。


ぐちゃぐちゃに、あるいは無茶苦茶に、


まるで爆竹を仕掛けられたカエルの如く、


その肉体の一部が辺りに四散し、犯行現場を赤一色で染め上げていた。


それは、弓端さんのお父さんも同じく、

古矢さんも同じく。



3人そろっておんなじように死んでいた。


昼間の空気は、寒い日でも、太陽のお陰でどこか温かい。

それが鴨川ともなれば、なおさらと言うことだろう。

だから、待つのもさほど苦ではない。

一定間隔に並んだカップルの群れを眺めるように壁を背にして時とある人物を待ち続けていた。

「高柳さん・・・・」

「あん、なんだ深戒のぼうずじゃねぇかよ。」


高柳さんは、瑠璃ちゃんに捜査情報を売っている悪い刑事さんだ。


今年で34歳になる。


見た目はトレンチコートを着た古臭い古典刑事であるが、京都府警の殺人課の一応エリートらしい。


正確には、エリートだったらしい。


刑事になってから、昇進試験は一度として受けてないし、エリートらしいことも一度としてしたことがない。

徹底的な現場主義と言えば聞こえはいいが、本人いわくアウトドロップ組なのだそうだ。


「瑠璃お嬢じゃねぇのか。

まぁいい。

そんなこたぁ、どうでもいい。

とにかく、だ。

はっきりいって、異常だぜ。実にむごい。

こんだけ、汚い殺し方は見たことねぇよ。

現場にいったらもっと最悪な印象だ。

もう、部屋中殺気だらけ。

なんて言うかな、ありゃ人間の残す殺気じゃねぇな。

悪魔かなんかがいたら、まさにそれだよ。

ともかく常軌を逸している。

最初は爆発物を想定してたが違うな、火薬の跡はまったくねぇし、なにより臭わねぇ。

あまりの異常さに気の狂った監察医が、死因は拳骨で思いっきりぶん殴られて、

倒れた所に腹を足で踏まれたんだ・・とか、言いだしやがった。

もう、あそこの先生には二度と及びはかからんね。

きっと。」


おそらく、監察医はただしい。


僕は知っている。


そう言うことを出来る人間を知っている。


ただの、単なる純粋な暴力で弓端さんは死んだのか、殺されたのか?

あんな風に、殺す人間を知っている。


だから、高柳さん。
あなたは普通の世界に居てください。





何故気付かなかったのだろう。

あの事件には、加害者がいた。

被害者がいた。

だけど、首謀者が加害者とは限らないのだ。



僕は、その首謀者について全く考えていなかったのだ。

Aliceは言う。

「あのさぁ、ひぃ君。ひぃ君は神社の息子さんだから多分ありふれていたのだろうけどさ。

そもそもツクモ神って魔法を勝手に覚えるものなの?

それ以前に、世の中にツクモ神が付きそうなほど物を大切にすることなんてありふれているのにね、


どうしてこんな事件がたくさん起きないんだろ?」


答えよう、ツクモ神は勝手に魔法を覚えるもんじゃない。

ツクモ神は、物を大切にしたなんて簡単な理由では生まれない。

今まで、こんな事件は頻発していない。



そこに、意図的なものを感じるのは至極当然の話だ。

何故、そんな事にさえ気づかなかった?

「ねぇ、お屋敷にパソコンなかったんだよね。

なら、どうやってチャットであの人と知り合うことができたのかな?弓端さん。」


ああ、そうだっだが、チャットだけなら携帯でもできるし、

ネットカフェでもできるだろう。

問題は・・・。



「『個』を失った弓端さんが、ツクモ神に監視され続けていた弓端さんが、そもそも


助けを求める・・


なんてことができるはずはない」


だから、向かうべきなのだろう。
首謀者の所に。
報告書に付け足さなければならない。




加害者―ツクモ神


被害者―弓端さんを中心に多数



首謀者―柄原美雄