口コミ 「〇〇の秋!」
ブログネタ:○○の秋!
参加中愛食家な彼女 19
心はいつも平穏ではない。
波打ち、寄せては返し、引き下がって、被さる様に・・・・・また、波打ち
そのさなかでー思い出だけが、安定している。
心の海を支えている。
記憶は少しずつさかのぼる。
あれは少年のころ、一人の女性に出会った。
白いワンピースを着た・・明るい髪の女性。
当時の俺にとってはおねぇさんで
今のおれにとっては少女だった。
太平洋の海。
和歌山県の白浜で民宿を経営している祖父の手伝いを両親と一緒に行っていた。
とはいえ、宿泊者の布団を出したり、出立の際にはお見送りしたりがおれの仕事のほとんどで
その他は磯へと遊びに出かけるのだ。
青い、青い、海
白い、白い、砂浜
焼けつけるような太陽が、世界を白へと近づけていく。
その中で陽炎のように、薄い透き通るような肌色が揺らめく
太陽光を反射した白き砂は、同じく白の服を着た彼女の輪郭をおぼろげにして
いまでは、その記憶が劣化したため―彼女の姿を思い出せない。
ただ、声だけはよく覚えている。
声だけは思い出の縁に居座っている。
やさしいやさしい声だった―!”#$%&―悲しい悲しい声だった。
彼女は砂浜に山を作っていた。
棒倒しをするような山。
けど、その山には何の装飾もない。
トンネルもなく・・・かといって凝ったお城のようにする気もないらしい。
彼女は、てで、砂をすくって、海水に漬け、しまった砂を、砂の上に落とす。
それを繰り返して山を作る。
目が・・・・目だけは思い出せることができた。
彼女の目は虚ろな涙でいっぱいだった。
おれはなぜ泣いているのか聞いた。
聞いたが理解はできなかった。
おれは彼女の名を聞いた。
答えてくれたがー本当の名かはわからない。
彼女はおれに「愛するもの」いるかと聞いた。
おれは、いないと答えた。
彼女は、「わたしが泣いている理由を知りたいなら・・・・」と、そう言って
俺は知りたいといった。
彼女は、「あなたに愛を教えてあげる」といった。
おれと彼女の奇妙な夏の日々が始まった・・・・・。

