日記 昨日いいことがありました。
僕は、大学生です。
大学生の中でも医学部の学生です。
年末のこのころ
ものすごく忙しい。
医学生の平均勉強時間は、人にもよりますが、僕ノ大学では、平日で七時間(学校での勉強は勘定に入らない)、休日で十三時間です。
睡眠時間を削りまくって、20時間という強烈な人間もいますが、だいたい、そう言う人は白髪か禿になってたり、すべてが勉強に注がれています。トイレ入りながら参考書読んでるタイプです。
僕の場合、近所のミスタードーナッツで勉強しています。
彼女とは、大学二年生くらいのときに、勉強が忙しくなったこともあり、別れました。
よって、昨日のクリスマスもミスタードーナッツで勉強していたわけです。
時計の針が六時を迎えました。
(今日も、十時間は勉強したけど・・・まだまだ、覚えることは多いなぁ)
医学部を8年間にしようという案が出ているという。
その意味を深くかみしめる瞬間。
いくらやっても日進月歩。
来年の今頃には、この必死で覚えた救急マニュアルも時代遅れになっているだろう。
そう思うと、読むのもおっくうだが
それでも、読まないわけにはいかない。
学年末試験には少なくとも出るわけだし。
医学部に専門はない。
日本の医学部はすべてを覚え全てを試験し、なんでもできる総合的な医者を作る。
故に時間が足らない。
物理学の選考で、すべての範囲を網羅して学習するようなものだ。
医学に専門はない。
専門ができるのは医者になってからで、仕事ではなく、学問のうちでは医学は医学一ジャンルしかないのだ。
暇な時間を見つけては、小説を書く。寝る前の30分。
だけど、それも最近、腱鞘炎がつらくて無理だ。
この腱鞘炎の痛みと、積み上げられたまとめノートだけが自分の努力を証明してくれているようだった。
いたい、いたい。
よし、もう少し頑張れるな。
この繰り返し。
25日の聖夜の日でさえそれは変わらなかったけど。
そんな時に、店員の女の子が、注文もしていないのに。
「メリークリスマス。いいお医者さんになってくださいね」
といって、ドーナッツをサービスしてくれた。
ああ・・・・・
この努力は、認められるほどの事ではないけれど、
こうして認めてくれる人は何処かにいるものなのだな・・・・・。
と思った。
店員さんがかわいかったので、疲れていなかったら恋に落ちてしまいそうな状況だったが
この時、僕が思ったのは
(ああ、もうこのお店では勉強しないでおこう・・・・・)
だった。
駄目なのだ。
こう言う裏側を見せちゃ絶対いけない。
医者が訴えられる時代になって、やりず楽なったという人は多いけど
本当は逆だと思う。
そっちのほうが正常だ。
医者は・・・・・尊敬されてはならないのだと、思う。
信頼される必要はある。
信頼されなければ、治療自体ができないからだ。
いや、尊敬されてもいいだろう。
でも、はるか昔、医者が何でも決めていた時代は
やっぱりおかしかった。
それが尊敬の果てにある、ある意味新興宗教じみた崇拝のもとにあるのならば
尊敬される・・・・・根拠を与えてはならない。
尊敬されなければ・・・・信頼は得られないというのに。
矛盾ここに極まれりナノは百も承知。
認めてくれて、嬉しい自分がいることも、百も承知。
素直に受け取っていればいいものを
そんな気にはなれないまま
僕はそのドーナッツを食べて店を出た。
帰り道、
同級生が、似たような体験をしたことを聞いた。
急に、寒さが薄らいだ気がした。
人を支える人間になろうとしている僕らは
多くの人たちに支えられていたのだと知って
僕はその同級生と、笑いあって、
家に帰って、一人になったとき
少し・・・・・泣いた。
自分は、小説を趣味で描いてきたのに
今起こった現実のほうが、よっぽど感動的だった。
くそ・・・・世界はこんなにもきれいだ。
本物の実話だ・・・・・事実は小説より奇なりだ。
そう呟いて・・・・・その日は心地よい夢を見た。
日記なのに・・・・・小説みたいだ。でも、本当にあった。
でも、今でも昨日の晩のことが幻のような気がしている。