第二章 多重存在 緊迫プレイ ―小説
地下でああだこうだと異常が起きているとき、
地上10メートルほどの高さでも血なまぐさいことは起こっていた。
「なんなんですか!?この馬鹿騒ぎは!」
吠える桃色血走り。
当然だ。
当然過ぎる。
おれ、いや『俺達』はにやりと笑った。
全員が罪罰ユダ。
お前の見えている全ての人間がお前の敵。
殺すべき相手。
さぁ、どうする?
お前は、俺を簡単に殴殺できる。
刺殺できる。
強殺できる。
だからどうした?
お前は、俺を殺しきれるか?
「どいつも、こいつも『人格失墜』。
どう言う理屈?
どういう能力?
誰もかれもが、同じ殺気を持つなんて!どれが本物だ!」
俺達は、笑う。
俺達は、嗤う。
俺達は、哂う。
ははは、抱腹絶倒。
サイコメトリ―で、のっとった人間には俺の記憶と意志が宿る。
俺の意志は殺意。
ならば、殺意で俺を判別することなどできない。
『俺の殺意はどれも本物』。
「ならば、みんな死ね!」
ああ、死のう。
簡単に殺すがいい。
ただし―
「こいつら何ですか!
防御を取ろうともしない!
瞬き一つしない!
当然ように死んでいく!
マゾめ!
死にたがり!
どいつもこいつもうざ過ぎる!」
当然だ!
俺にはあの日から生への苦痛しかない!
死はわが本望!
最高のエクスタシーだ、『桃色血走り』、最高だ。
お前は俺の夢を叶えてくれる!
「変態野郎どもが!
死ね!
死にまくれ!
消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ!」
ものすごい勢いで、桃色血走を中心にキリングフィールドが広がっていく。
たやすく、たやすく広がっていく!
すさまじい、血しぶき、凄まじい血走り。
その名のごとくか、『桃色血走り!』
新鮮な赤い血しぶきが、霧と化して空気と混じる!
交わう時のように、興奮した頬と濡れた肢体の汗が、さらに交る。
血、空気、汗!
すべてが混じって、桃色の霧が急速に走る。
ゆえに、『桃色血走り』。
死戯め、
死戯め、
カラード(色つき)め!
だが、てんで足らんよ、てんで間に合っていない。
お前の殺害スピードより、俺の増殖スピードの方がてんではやい。
くくく、それはそうだ。お前の身は一つしかない。
お前が殺し続けるには、お前の力の幾分かを自衛などと、
死戯らしくない行動に費やさなくてはいけない。
対して、俺はすべてを殺しきれる方に使える。
ははは、しかたねぇな。
エロイな、血走り。
これじゃ、集団レイプだ。
数の暴力、最高にエロチック。
さぁ、さぁ、さぁ、約束を果たそう。
今度こそ―
「イチャイチャしようぜ!」
「見つけた!」
え?何を?
それは迅速に行われた。
血走りは、鋏を抜く。
その瞬間、驚異的な速度。
血煙りが大地をさく!
「何が起きた?何を起こすつもりだ!」
俺たちの内の、誰かの姿をした俺が叫んだ。
それは、動けないでいる『外の俺』にも聞こえた。
が、遅い。
音が『桃色血走り』に対して遅すぎる。
「ははっ」
こいつは、すごい!
思わず笑っちまう。
その血走りは、窓を破って、地上10メートル上空へ飛び出し、
あろうことか『外にいる俺』に襲い掛かった!
信じられねぇ。
どこまでイカレテンダこいつ。
わざわざビルの外にいる俺の位置を特定するために、
『目を縫い付けて、感覚を一つ殺しやがった。』
殺気をより鋭敏にとらえるため、視力と言う感覚を犠牲にし、
第六感の底上げを図る。
「どこまで、エロイんだよ!」
「ひゃは!」
笑う。
嗤う。
哂う。
抱腹絶倒する『桃色血走り』。
「緊迫プレイはいかがです?」
そうして、俺は・・・・縫い付けられた。