第二章 多重存在 2-18 脱出 ―小説
目がさめれば、そこは真っ白な世界だった。
「なんだっての」
真っ白い床、真っ白い壁、真っ白い天井には一日中蛍光灯が灯っている。
「ああ、もう・・・今何時だ。」
いや、そんなことより、なんで俺、拘束されてんだ。
まるで布団で春巻きにされたみたいに、拘束具で完全に包まれた状態。
まるで芋虫。
まぁ、芋虫なら食えるだろうが・・・。
「自分が芋虫なんざ食えた話じゃねぇよな」
「そうですか?案外おいしいかもしれませんよ。」
ドアが開いた。
あの女だ。
『桃色血走り』
「あの赤いのはお前らの仲間ってことか?」
「いいえ、あんなイレギュラー見たことがありません。あなたの方こそ何者か知っているんじゃないですか?『紅玉のアスラ』、そう名乗っていたようですが」
「しんねぇよ。死戯をぶったおすなんてはっちゃけた戦闘力。聞いたことねぇ。」
「・・・確かに。あれだけ、はっちゃけた存在は見たことありません。ムカつくですね。よければあの後のことを教えてあげますけど。」
「頼むわ。」
「あなたが、あのアスラに気絶させられたあと、私もあのアスラと戦闘しました。どうやら、私の方は殺すつもりだったみたいですね。そりゃぁもう怖い思いをしました。けっかとして、途中でアスラがどっかに行ってしまったので助かりましたが」
つまり、なんだ?
あのアスラとかいう奴は、いきなりやってきて場をかき回すだけかき回して帰っていったって言うのか?
なんて迷惑なやつだ。
「わかんねぇな?何でおれ殺されてねぇわけ」
「・・・・・。人格失墜」
「あん?」
「お前は、・・まぁ・・いいです。あなたは愛染さんに生かされただけです。それだけですよ」
そういって、出ていく桃色血走り。一体何がしたかったんだ?
まぁ、いい。とりあえず脱出だな。