第二章 多重存在  彼女の記憶 その2 ―小説 | 蒸れないブログ

第二章 多重存在  彼女の記憶 その2 ―小説

―ジッー


―ザ―


―誰だ!コイツ―

―シラナイ・・シラナイ・・―


―私は・・シラナイ・・・オレ―


―ユダ君  それは俺だ―


―ジジ―


―ザザッ―





というわけで、あえなく私の皆勤賞は露と消えた。
まぁ、いいよん。私は近くの国公立にはいるのだ。
特別な肩書はいらない・・・第一志望は・・・だけど。
「マジでサンキューです。吉野巫女様。ありがとう。」
「ふむ、よかろう。梅田COCORICOのブルーベリーパイで許してやろうではないか。」
えっへん、と胸を張る。
あそこのフルーツタルトもおいしいけどブルーベリーパイも最高だ。
そんなわけで、ユダ君と一緒に梅田まで出てきたのだ。
私達は、COCORICOで、お茶をする。
あは、なんだか本当にデートらしくなってきた。
「で?ユダ君は何で今日誘ってくれたわけ?」
「うん、まぁ、そりゃいいよ。」
何がいいんでしょう?
「それよりさ、吉野ってかわいいもの好きだよな。おまえ、実は今の学校制服で選んだろ?」
うわ~、さすがユダ君。ピッタンコカンカンだ。
「まぁ・・ね。かばんにつけるストラップとかにはこだわりあるかも。」
「うん、じゃあ。そこらを中心に行ってみっか?そういうのどこの店で買ってんの?」
「なんでーそれ、ユダ君。そりゃデートとしちゃ二流だよ。ちゃんと私を連れまわすくらいの勢いで、知らないところをチョイスしなきゃ。」
「何言ってんだよ。初回デートだぞ?俺は、お前の事をもっとよく知りたいんだ。文句あっか?」
そう、きたか。まずまずの45点だよ。でも赤点だね。当然百点満点採点。
「でも、それじゃ私の事は知れても、私がユダ君のことを知れないよね?そういう一方的搾取っていうの?ダメダメ。フェアじゃないし。私はそういうの望んでないのさ。世の中、双方向ネットワークシステムよ。携帯だって何だってポケベルより普及した理由はそれなんだから。」
「ぽけ?」
「む、知らなかった?ごめん。これじゃ私が一方的だ。つまり、私はユダ君のことをよく知りたいってこと。デートなんでしょ?これ。」
「うん、まぁな」
頼りないなぁ。
遊ばれたりしてないよね?
「わかった。つってもしらねぇぞ?俺の趣味は案外刺激的すぎッカモだぜ?」
「そこは期待しておく。」
うん、そのくらいの方がいい。
学校サボってまで付き合ってるんだから無刺激(つまらない)なんて、まっぴらだ。
そのあと、なんだかんだで結局私のショッピングだ。
というか、ウィンドウショッピング。
クリクリの瞳のライオンマスコットが私に訴えかけている。
いたって真面目な高校生の財布事情は厳しいのだ。
せめて、昼が弁当はであればもうちょっとましなのだろうが、残念な話、私は売店派なのだ。
「なんだよ、かわねぇの?それ、気に入ったんだろう?」
「うう、参考書・・・むむ、でもなぁ。そう、すごく可愛いし、はう」
悩みに悩む。買えない・・・事はない。買えないことはないが、買ってはいけない。かえば・・・あぁ、どうすればいいの?私。
すると、ユダ君は、あっさり私の気に入ったライオンマスコットを手に取り無言でレジに向かう。
「あ、ダメ!そう言うの反則。言ったっしょ?平等平等。フェミニストって言葉は女性優遇主義でなくて、男女平等主義なんすよ。驕るとかいうのは私の先輩になってからやってよ。」
「何言ってんだ。お前勘違いしてね?これは俺のだぜ?お前買わないんだろう。だったら、おれので文句ねぇよな。頼まれたってやんねぇし。」
うそん、私迷ってただけで別に、あ~くそ、なんか悔しい。
「ん?でもそれって・・・ユダ君そんなの欲しいの?」
「あん?可愛いじゃん、コレ。特に目のあたり」
そういいながら、何の臆面もなく笑うユダ君。
「クスッ―」
ダメだ、笑っちゃう。
「なんだよ?おかしいか?」
うん、可笑しい。本当に意外、意外なくらい刺激的。
うん、可愛いユダ君に65点。赤点ぎりセーフだけど、もっと頑張ろうだ。




―いや、違うだろう―

―ええ、違っていた―