第二章 多重存在 彼女の中へ ―小説
それが俺の能力、接触感応、サイコメトリ―と呼ばれる力。
物体から記憶と思いをダウンロードする。
―ザッ―
―ジジッ―
―あ、ええ。そうですけど。―
―ッ―
―ええ、男の子が向こうへ―
―た、ぶ、・・・ん、ユダ君です。白い髪の子なんて他にいないから―
ちがう、先だ。まだ向こうだ。
―昨日、友達がね・・お母さんキイテル?―
―二人いるんだって、変なの。それじゃドッペルゲンガ―じゃない。―
―やだ~、もう私死にたくないわ。そんなの迷信でしょ。言っておくけど名神高速道路じゃないから―
先、先、先 過去 過去 過去。
もっと、もっと、もっと、もっと
―ジッ―
―ザザッ―
―ジジッ―
―ッ―
冷たい、冷たい場所だ。
私が来たのは冷たい場所だ。
吉野巫女が来たのは冷たい場所だった。
妙・・とても変。奇妙な浮遊感、そして暗い。
ああ、そうか。私は今水の中にいるんだ。そうに違いない。
冷たい場所だけど不思議と寒くはない。ただ怖い。私は何をしているんだろう。
手を伸ばす、だめだ。伸ばせない。分厚いガラスが私を覆っている。
この歪んだ世界はガラスの性なんだ。あぁ・・・。
そうか、金魚蜂の金魚とおんなじなんだ。
変なの・・・
どうして私こんなところにいるんだろう?
あれ、人だ。人がいる。
―ジッ―
ガラスで歪んで見えないけど・・・
―ザッ―
笑ってる。
―変なの・・白い髪、わ、ワラッテ―
フードとってよ。誰?あ、ああ、駄目だ。私、裸だ。
どうなってんの。
どうして・・・・。
ああ、そうだった。―君だ。
―!?―
ここに来たのは、そうだ。そう言うことだった。
―私、バイトに―