第二章 多重存在 死の河に浸かった街 -小説
始まった殺戮は止まらない。
人間の限界値を大幅に超えた活動により、閃光のように二人は絡み合って殺しあう。
なにが、辛いか、苦しいか・・・
そんな事が吹っ飛ぶほど頭が真っ白になるほど、そこには狂った楽園が広がっている。
時刻は、未だ人通りのある時間。
ならば、人を殺してそれは進む。
相手を殺すついでに見た人間も殺す。それを見た人間もまた殺す。
二つの閃光が町を蹂躙しながら、無限のように死の川を広げる。
奴らは死戯と呼ばれる生きた都市伝説。
その伝説は、また一つ物語を増やした。
この日、血はさんさんと降った。血の池だまりに町は浸かった。
死の川はゆったりと流れるその行き先、モノレール駅へと流れ込んだ!
モノレールの架橋・・・一つは門真行き、一つは大阪空港へと向かうもの。
行きと帰りの二つの路線。
その路線を駆けながら今二体の殺人鬼の殺し合う。
「熱いな!最高だよ、お前!」
「うひっ!その言葉は二回目ですよ!」
そうだっけか?
大阪空港へと向かう方向に駆けながら、
相手の追尾式の針を交わし、
鋏を交わし、
糸を交わす。
その合間に、俺には武器などない。
ただ切りつける。
己を一本のナイフとして殺滅を繰り返す。
俺たちの均衡は崩れつつある。
短期決戦であれば、武器を使う桃色血走りが有利だったのだろう。
だが、しまったことに俺達は殺しにこだわりすぎた。
この町で虐殺を起こしたことにより、余計な動きを交えすぎた。
戦闘は、桃色血走りの臨むように長期化したが、
それが却って彼女を追い詰めている。
とにかく体格差があるのだ。
中学生と言うただでさえ成長期である二人だが、
俺は、ともかく女のあいつは中学一年生。
成長期の前期にいるあいつと。
後期にいる俺とでは体のつくりがまるで違うのだ。
出来上がっていない。
未熟である。
そして何より、身長がちっさい。
身長が150㎝にも届かないちびっこ変態殺人鬼に、長丁場はきつい。
武器を使うというのも、ここにきて有利ではなくなっていた。
武器ってのは、案外体力を使う。
ゴルフクラブを振るとわかるが、手を振るのとはわけが違う。
どんなにリラックスしても、
支点、
力点、
作用点、
モーメントに慣性、
単純に質量、
振れば遠心力、
支持力など
あらゆる運動エネルギーが道具を使うだけで、
自分の体の一部でないというだけで
負荷となって体を襲う。
裁縫道具とは言え、それは変わらない。
俺は、やや押してきていた。
突然だが後ろからライトで照らされた。
モノレールがやってきたのだ。
今は、俺のいる路線。
S駅からなら二十三時四十八分大阪空港行最終便!
だが、支障にならない―
俺達はそれより遙かに速い!
時速75km?カメかそりゃ?
追いつけるものなら追いついてみろ!
だが、しかしそこまであいつも甘くない。
桃色血走りは、糸つきの針を足に絡ませてきた。
おれは、つんのめるが、なんとかその場に踏みとどまる。
えっ・・・と。すまん、マジやべぇわ。早いですね。予想外だぜ、モノレール。
お前って結構速いんだな。
だからさすがに、その重量で突っ込んでくんな!
さて、桃色血走りにも予想外のことが起こった、
俺の移動を止めるため、踏ん張って、糸を引いていると
向かいからやはり、時速75kmでモノレールがやってきたのだ!
