小説 第二章 多重存在 2-7 ドッペルゲンガー | 蒸れないブログ

小説 第二章 多重存在 2-7 ドッペルゲンガー

・・・旦那。


本当に頼りになる。


どうやら、俺より詳しそうだ。




「事件は、お前の言う昨日の夕方『身元不明』遺体以前から続いてる。」

「吉野巫女だ。間違い無い。」

「公式にはそうなってるんだ。仕方ないだろう?とにかくこの連続殺人事件はお前が見たもので7件目。一日一殺、七日前から続いている。」

「で、他の被害者の身元ってのは?」

「身元不明だ。理由は分からない。

だが、ネット板の方じゃこう噂されてる。

遺体の身元が、生きている人間だから発表できないんじゃないか?ってな。」


すんません、意味がわかりません。


遺体が生きてる人間って言うなら、そりゃ遺体とは呼べねえよ。


「そう言う意味じゃない。

警察側がな遺体を見つけたら、

まず最初にやることはどこの誰が殺されたかって事。

お前が何を持って、その遺体を吉野巫女だと知ったかは知らないが、

警察も確実で科学的な手法を用いて、尚且つ迅速に身元の確認はしている。

そして、被害者にあたりを点けて被害者宅に確認しに行ってみるとさ・・・、

いるわけだよ。

その被害者のはずの人間が普通に生きて生活しているんだ。

当然、あたりは間違いって言うんでもう一度身元確認をしたんだが、

やっぱ、該当する人はその人くらいでさ。

で、ある刑事があまりに不思議に思って、一度その生きてる人の血液サンプルをもらってDNA鑑定してみたんだよ。

それが遺体と一致しちまった。

さて、こんな事件が立て続けに七回も起れば、お前、メディアでどう報告する?」



ああ、それではたしかに『身元不明』で、『連続殺人事件』と考えるのが妥当だ。


こういう異常な出来事を堂々と世間に公表するわけにはいかないだろうなぁ。


しかし、ともすればこの異常は何だつーの?

いや、それこそ俺がここで考えるよりずっと頼りになる人が一人いるじゃねぇか。

そう、確か瑠璃が言うにはあんたは、そういう分野の仕事を引き受けてるんだよな。



深戒櫃代の旦那。



「で、どうなんだい?なんか心当たりあるんだろ、旦那。

スペシャリストってやつだもんな」


「ない」


瞬殺!
閃光の如く否定された。



「そもそも、お前は勘違いしている。

確かに、俺のかかわる事件は、『魔法使い』だの『怪異』だのが関わることが多いが、

別に俺はそれらについて詳しく知っているわけじゃない。

唯一、まだ知識があるのは怪異の中でも日本古来のものだけだ。

だいたい、異常かもしれないが、そもそも本当に『魔法使い』だの『怪異』だのが関わってるのかすら解らないだろう?

まぁ、それでも・・・・」



と、旦那は思案してくれている。

なんだかんだで面倒見がいいんだ。この人は。


「なんだよ。旦那。何か思いついたか?」


「いや、似た様な話・・西洋のであるよな。

なんか都市伝説的な。

んん、どうも思い出せない・・・。」


ええっと、あったっけ?

そんなもん。

同じ姿形の人間がいて・・・・。

ああ、あれか一時期、俺が生まれる前に日本でもはやったっていう―。


「ドッペルゲンガー」




◆ ◆ ◆




まぁ、旦那がそう感じたのは無理ないことだと思う。



俺は普段は寄り付きもしない学校の図書館へと足を向けていた。


ドッペルゲンガ―を、オカルト的な本で見つける。


ドッペルゲンガー・・・ドッペルとはドイツ語で英訳すればダブルとなる。その名の通り



二重存在。一般的に、瓜二つであるが、邪悪な存在とされ、その姿を見たものは近

いうちに死ぬという。



死期の予兆。


うん、まぁ、あってはいるよな。



実際本人は死んでるわけだし。


けれど、ドッペルゲンガーなんて言うものは怪異としては低俗なうえ

『なんの影響力もない』らしい。


なにより、矛盾するところがある。


ドッペルゲンガ―には、行動に二つの特徴がある。


―1つ、ドッペルゲンガ―の人物は周囲の人と会話しない。
―本人と関係のある場所に出現する。



ともすれば、今回の事件では、吉野巫女は俺のことを警察にちくったし、

普通に生活しているというからには

特定の場所だけにいるってわけでもないのだろう。


「やっぱ、こういう場合手っ取り早い解決策つうのは・・・・」



そのドッペルゲンガ―疑惑のある被害者。


・・・俺が知ってる中では吉野巫女。



こいつに直接会う必要がある。



とはいえ、相手は俺をちくった相手、

俺とあったってまともに答えてくれッカわかんねぇし、

何より逃亡中の罪罰ユダ君が復讐するのではないかとポリ公どもが家のあたりをうろついてるだろう。



「まっ、大したことねぇな。」