ちょっとだけ、今作ってる物の、プロット
西暦2309年 夏
旧日本国 関東 都市名 ―東京
東京大砂丘
この日、環境再生プロジェクト第二十四番隊の観測日
「この熱い風の中では、第8世代型防護服の性能も形無しだな・・・」
紫藤九日は、大砂丘のなかをオレンジ色の分厚い防護服に身を包み、その暑さに耐えていた。
いや、耐えていたのは今自分がやっている、緩慢な作業であろうか。
「とはいえ、第六世代型と違って、簡単に融解しないだけましってものです。天中時間に、オーブに入れなかった軍事研の話、知ってるでしょ?」
アイン・サーシェントは、計測器の目盛りをじっと見る。
どうやら、こっちもうんざりなのは一緒のようだ。
計測器の、球体が、3Dグラフで現在の状況をあれこれと分析している。
もっと詳しく言えば、分析など計測器が勝手にやってくれることだ。
かれらは、それを運ぶ仕事であって、それ以上ではない。
「古臭い話を持ち出すなぁ、お前、歴史学者?」
「何いってんすか?たった12年前の話ですよ。今では防護服のありがたさを伝える重要な逸話です。」
「ばぁか・・・軍事研のエリートどもがそんな間抜けなはずあるか?エミンシャールの奴らの商用広告用の作り話だよ。」
「そ、そうなんですかっ!?」
計測器が、その仕事を終了させたことを告げる赤いランプが点灯した。
同時に、紫藤九日は、その身を起し、砂に足を取られながらも、立ち上がり、計測器の移動に取り掛かった。
「プロパガンダだよ。プロパガンダ。」
「駄目ですよ。先輩、根拠もないのにそんなこと言ったら。また、リューミンさんに怒られますよ。」
「通信きってる。聞かれてない。」
「せ、先輩!ちょ、やめましょうよ。そういうの。先輩が、途中でいなくなっても僕は、そのまま帰りますよ。命おしいですから。・・・あれですか?リューミンさんとまた喧嘩?」
「あれを喧嘩と呼ぶなら暴力は虐殺だろうな。いや、アイン、お前さ。何で俺のプライベートのこと知ってる?」
「ノーマさん―」
「待て!もういい!またか、あの女。到底アメリカ人とは思えんな。個人主義国家だと信頼していたのに・・・」
「国家によって主義に縛りができたら、それはもう個人主義ではないですよ。先輩」
紫藤は、時計を携帯蘇生機で確認し、後4時間で天中を迎えることを確認すると、アインに、指示を出し、走行機の上に計測器をのせた。
「先輩?ところで、さっきの話本当ですか?」
「あん?喧嘩の話か?お前、結構デリカシーないな」
「そうじゃなくて、プロバガンダの話ですよ。」
「ああ、あれな・・・。お前は、疑問に思ったことはないか?俺たちの仕事」
「仕事にですか?確かに、熱いし、いまいち何やってるか実感のないことばっかりですけど・・・。一応公務員だし、給料はいいし、好条件じゃないですか?」
「そうではなくてな・・・、あれだよ。こうやって俺たちが何もしなくてもいい計測器もある。ルートを設定して、この光の道の上にいるだけで、時速120Kmにまで、物体を加速させる走行機もある。なのに、なんで、俺たちがこんなことやらなきゃいけないんだ?オーブの清掃用SDみたいにAIがつまれた、そうでなくても、遠隔操作用の機会を作って、それで輸送させればいいだろう?わざわざ、人間様が機械のお守りで、エスコートる必要なんてない。」
「それはそうですけど、AIだって完璧ではないし、不測の事態での対応も悪い。外装は大丈夫でも、中が磁場で焼け焦げるって話も聞きますよ。遠隔操作は、磁場の影響でもっと難しいかと」
「冗談、中の人間が焼け焦げてねぇんだ。そんな訳あるか。磁場の影響なら走行機も計測器だって受けてる。大丈夫だろ?」
「でも、さすがに防護服を売るってだけじゃ、そんな事ありませんよ。」
「まぁ、そりゃそうだが・・・・」
その時、砂漠が盛り上がった。
轟音と共に現れる黒い影、固い外殻に覆われた全長20メートルにもなる多足類。
「エッジだ。アイン走行機のルート設定操作頼むぞ。おれの指示通りにしろ」
「アイアイサ」
「120Kmまで、最大加速」
「了解」
急加速された衝撃に耐えるよう、二人は体をかがめる。
一瞬にして最大速度までに達する。その加速度たるや・・・
しかし、エッジと呼ばれる巨大な虫は、そのスピードに追い付いてくる。
「くるぞ、10時の方角にルート指定。次、高度設定を5メートル上に設定しろ。」
エッジが襲いかかる直前に、走行機の道はカクンと左に折れその場をなんとか脱した。
「そのままオーブまで、この速度を維持し続けるぞ」
西暦2309年。
人類は、太陽系の位置バランスの崩れた地球でかろうじて生き延びていた。
月は、過去より、はるかに近くにあり、その大きさのため、天井のように上空に浮かんでいる。
太陽とのバランスが崩れた地球は、灼熱の大地が続き
人類はオーブと呼ばれる居住空間で人口の調整をしながら生き抜いていた。
その時は、それが世界のすべてであると、誰もが信じて疑わなかった。
題名 エルドラド・ジ・アース
ジャンルSF
企画中・・・。