足立区議会・議会改革を全力で推し進める会の一員・土屋のりこの立場から、代表質問をおこないます。
このたび、私と長谷川たかこ議員とは、足立区議会の議会改革を全力で推し進めたいと考え、会派を結成しました。
私は、改選前、無会派の立場で議員活動をしていましたが、会派主義をとる足立区議会においては、ひとり会派が認められず、そもそも議会の在り方について議論する会議にも参加できず、議員活動に大きな制約があることを痛感しました。
私たち議員は、一人一人が有権者から選出された、対等な立場であり、独立した存在です。有権者はじめ、区民の皆さんから託していただいた思いを実現すべく、最大限の力を発揮していく事を決意しています。
政治的スタンスは、個々違いを尊重し、「議会改革を全力で進めること」を一致点として会派を組み、ひとり会派が認められ議会での権利行使が等しくなるまで、全力で議会改革を推し進めていきたいと思います。
今回の選挙で私は、「足立区の優秀な財政状況を生かし、税のもつ所得再分配を強化する」政策を掲げました。社会学会による「社会階層と社会移動全国(SSM)調査」(2016年首都圏調査)によると、「豊かな層ほど所得再分配に反対が強い」と言われ、前回選挙より得票は減らしはしたものの、議席を守り切れた事が、何を意味するか。格差拡大を認識する層が一定層あり、暮らしに苦しさを感じており、変革を求めている、所得再分配を強化する自治体・区政への転換を強く求めている、だから私が議員として再度選出された。背後にある区民の方々の民意を受け止めて頂けるよう願うものです。
格差拡大・貧困は、社会的不正義の表れです。所得再分配=正義を実現できる足立区政への転換を強く求め、質問に入ります。
区政運営について
1.自治体戦略2040構想について
1 (1)総務省の設置した「自治体戦略2040構想研究会」報告が第32次地方制度調査会に引き継がれ、法整備の土台となっている。2040年内政の危機が押し寄せてくると危機をあおり、自治体の課題としてスマート自治体への転換、公・共・私による暮らしの維持等提示している。スマート自治体とは自治体業務の自動化・省力化を通して職員数半減を狙うものであり、公・共・私による暮らしの維持とは、公は企画・環境整備などコーディネートにとどまり、サービス提供は共=地域での共助と、私=自己責任でおこない、行政はサービス提供から撤退すると表明しているに他ならない。このような総務省の示す方向性は公的責任の放棄であり誤っている。
区は、このような総務省方針ときっぱり対決の姿勢をとり、公的責任を縮小させず、コスト論にとらわれず、採算と関係なく必要な福祉・行政サービスを責任をもって提供し、しっかり公的責任を果たす立場に立つべきと考えるがどうか。
2 (2)区職員数は1981年(昭和56年)の5790人を最大とし、2000年(平成12年)に一度だけ増員されたものの、平成30年度まで削減され続けてきた。そのしわ寄せが、ここ最近の区政各部署におけるミス続発となっているのではないかと危惧する。昨年度仕事始め式の挨拶において区長は横断的な庁内連携による業務遂行体制に触れ、難しいならば、人が足りないのか、お金が足りないのか、時間が足りないのか、建設的な意見から入って欲しいと述べておられたが、「全部が足りない」というのが現場の実態だ。
ミスを減らし、個々の職員の方が労働において生き生きと自己実現を果たし、アイデアを生かし、新しい変化に対応できる自治体行政運営をおこなうには、人員削減ではなく増員こそが必要だ。保育士、区長部局はじめ正規職職員を増員すべきと考えるがどうか。
また、非正規雇用にある者についても、希望に応じて正規職への転換をすべきと考えるがどうか。
2.公契約条例について
公契約条例が制定されていることは、先駆けた良いことだが、課題も明らかになっている。多摩市では、職種ごとに熟練工80%以上を置かなければならないと定め、工事等業務の質を担保している。
足立区の現場では、例えば小学校建設現場で鉄筋を組むにあたり、鉄筋工がすべき作業を労働単価の低い軽作業員におこなわせ、本来と違った単価の低い作業工を使用することで、契約を安価で済ませるという、公契約条例に抜け穴をつくる事例が指摘されている。
職種区分に沿った工員配置、熟練工を未熟練と偽って安価な単価設定にしてしまう事など許さぬよう、実態把握、現場への指導を強化すべきと考えるがどうか。
3.大規模水害対策における「公助」の在り方について
近年気候変動が激しくなり、大規模水害等災害が増加している。荒川等大河川を域内に持つ江東5区が集まり、江東5区大規模水害広域避難計画が公表された。当区でもシンポジウムが開催され、区民へも内容が周知されたが、参加した区民の方、とりわけ一人暮らしの高齢の方から疑問が出されている。広域避難が必要だが、避難先について行政は責任を負えないから自分で探すこと、自助が重要だと言われるがそれでは困る、とのことだ。
(1)広域避難にあたり区は行政責任をどう認識しているのか問う。
(2)大規模水害の場合、広域避難が必要となることが明らかなのだから、区外へ避難できる避難先確保を区が率先して行うべきと考えるがどうか。
4.高い貧困率の解消へ向け改善目標を明記することについて
2015年子どもの貧困率は13.9%、スウェーデン9.6%、イギリス11.2%と比して、日本は高い貧困率にある。日本では、働いても適切な賃金を得られない状況にあることが指摘される。他の先進国と比較し、政策が課題解消に機能していないことが問題であり、「真面目に働いても当たり前に暮らせない現実を代弁してほしい」との声が、今区議選において、多々寄せられた。
こうした実態を解消するには、対策において数値目標を設定することが必要だ。子どもの貧困対策推進法は、今回制定後初めての大綱の見直しがおこなわれ、今国会において改正案が可決成立した。法第1条の目的に、対策の推進に加え子どもの貧困の解消が明記され、「貧困の連鎖」を断ち切るだけでなく、今現在の状況の改善が追加された。また、第8条では、子どもの保護者当事者の声を聞くことが規定された。
超党派議連による改正・原案では、子どもの貧困率、ひとり親世帯の貧困率などの改善目標を大綱で定めるよう明記されていたが、数値目標は、経済的に苦しい当事者や支援団体が強く求めてきたことだ。今回は財源を理由に見送られたが、当区においては当事者らの声を真摯に受け止め、本気で貧困の連鎖を断ち切るため、施策の見直しを行うべきと考える。
子どもの貧困対策において、子どもの貧困率やひとり親世帯の貧困率の改善など、工夫し、区で把握できる数値において数値目標を設定し、区の事業が経済的な困窮に対しどう効果を及ぼせているか把握すべきと考えるがどうか。
5.障害福祉と介護保険の65歳問題について
障害者総合支援法で規定された介護保険サービスの優先原則がもたらす弊害が明らかになり、審査請求や生存権をかけた裁判が全国で多数提訴されてきた。
支援を必要とせず自ら行えるようになることを「自立」とする介護保険と、依存するレベルを自分で決めることを「自立」とする障害者総合支援法では、そもそも「自立」の意味合いに違いがあり、介護保険への移行が強制され、必要とするサービス給付から障がい者が排されることになってはならない。
障害者総合支援法第7条は、介護保険法の規定による給付のうち自立支援給付に相当するものがある場合は介護保険サービスが優先されるとしている。
平成19年3月28日厚労省通知は「申請者が必要としている支援内容を介護保険サービスにより受けることが可能か否かを適切に判断すること」と通知している。
平成27年2月18日厚労省事務連絡通知では「あたかも介護保険のみの利用に制限されるという誤解を障害福祉サービス利用者に与えることのないよう(略)介護給付費等の支給が可能な旨、利用者及び関係者へ適切に案内を行うこと」、また「障害福祉サービス利用者が要介護認定等を受けた結果、居宅介護サービス費等区分支給限度基準額の範囲内では、利用可能なサービス量が減少することも考えられる。しかし、介護保険利用前に必要とされていたサービス量が、介護保険利用開始前後で大きく変化することは一般的には考えにくいことから、個々の実態に即した適切な運用をお願いしたい」と発出されている。
(1)現在の65歳以上の障害福祉サービス利用者における、介護保険・障害福祉併給者は何人で何割程度か。
(2)65歳到達による介護保険への移行の案内がおこなわれているが、介護保険サービスと障害福祉サービスの併給が可能な旨をサービス利用者に事前案内しているかどうか。また、区民へも周知をしているか。周知をしている場合、どのようにおこなっているか。
(3)申請勧奨に応じず、要介護認定等を申請しないケースはどれくらいあるか。そのまま65歳到達後も継続して障害福祉サービスの利用申請があった場合は、どのように対応しているか問う。
6.滞納から支援につなげる区の対応について
熊本県宇城市では、市税滞納により業務に使っていた移動販売用車両を市に差し押さえられ、前途を悲観した一家6人が無理心中する事件があった。差し押さえをおこなった市当局は「まさかこんな結果になるとは思わなかった」というが、滞納処分により市民生活を破壊してはならない。
差し押さえの乱発では前橋市が高名だが、その手法が「北風」なら、その対極が「ようこそ滞納いただきました」との行政手法をとる野洲市の事業だ。単なる温情主義ではなく、ビジネスの観点からも問題が深刻化する前に手を打つことで行政コストを減らすという。部を横断する相談体制と就労支援に至る生活再建型の滞納処分対策が有効であり、滞納はそのシグナルと受け止められるから「ようこそ滞納いただきました」、支援が必要であることを知れてありがとうという。経済的問題も深刻さが増す前に生活再建できれば、滞納した税や保険料等を払うことが可能となり、徴収業務に携わる自治体職員のストレス軽減にもなる。
(1)足立区の債権の管理等に関する条例では「区の債権等の適正を期する」ことが目的とされているが、滞納整理により区民の方を一段と窮地に追い詰めてはいけない、生活を壊してはいけないと考える。適正化を通じ、健全な財政運営及び区民生活の安心の確保にも資するべきと考えるがどうか。
(2)払える状況にない人からの取り立ては効果がないだけでなく、職員資源・経費等の浪費となる。足立区の徴税コストはどれほどか。また、一般会計予算金額比で構成比率はいくらか。
(3)地方自治法第1条の2「住民の福祉の増進を図る」のが本懐。行政は支援の手を差し伸べるべき。生活困窮を重篤化させる前橋市のような北風型滞納整理ではなく、太陽政策的に、滞納から支援・生活再建につなげるスキームを作るべきと考えるが、どうか。
7.ごみゼロを目指したリユース食器活用について
6月7日政府は「環境・循環型社会・生物多様性白書」を決定し、プラスチックとの付き合い方の見直しを提言した。プラスチック製品のように使い捨てを前提とするものの利用を可能なところから削減し、ごみを発生させないリユース型のものへ切り替えていく事が重要になっている。
(1)6月1日、2日と当区でも地球環境フェアが開催され、海洋プラスチックごみ問題をテーマに、プラごみ削減・ごみ削減が取り組まれた。今年度ごみ削減効果の大きいリユース食器がイベントで活用されたが、成果と課題は何か。
(2)区が率先してリユース食器活用を他のイベントへも広げるとともに、区民主催イベント等でも活用されるよう、ごみ削減の啓発・取り組みを広げるべきと考えるがどうか。
8.教育費の完全無償化へ漸進的な歩みを
義務教育にかかる教育費の完全無償化を求める。
義務教育は無償化のはずが、学校に通うためには多くの経費がかかっているのが実態だ。家庭の経済状況により、子どもに差があることを実感させられることがきついと、対策を求める声を受けた。
卒業アルバム代が払えない、給食費が払えないなど、学校生活を送るために何らかのお金を払わなければならないということは、授業料と同じことだ。日本も批准する国際人権規約の社会権規約には、高等教育までの漸進的無償化をとある。
当区においても、現状の低い水準の義務教育無償化で事足れりとするのではなく、義務教育完全無償化へ向け、漸進的に事業を進めるべきと考えるがどうか。区としてできる無償化策はあるか、ないか、問う。