群馬県沼田市の廃棄物収集運搬会社の敷地内で4日に、ごみの中から現金4251万円が見つかった。事件と関わりがあるのか、誤って捨てられたものなのか。実は、この場所、8年前にも300万円相当(当時)の金の延べ板が見つかったことがある。単なる偶然なのか。それとも--。地元ではさまざまな臆測が飛び交っている。【杉直樹】

 「あのお金は自分のものです」。大金が見つかった4日以降、群馬県警沼田署には、こんな電話や問い合わせが相次いでいるという。しかし、持ち主はまだ特定されていない。

 県警によると、大金が見つかったのは4日の午後2時20分ごろ。同僚と2人で、廃棄物の選別作業をしていた男性従業員(63)が見つけた。

 しかし、沼田署は、現金が何に入っていたかやお札の種類など詳細については一切明かしていない。「本当の持ち主」かどうかを見極めるためだ。

 このお金は「拾得物」扱いのため3カ月間持ち主が現れなかった場合は、この会社のものとなる。しかし、会社関係者は困惑気味だ。「トラック1台でも買おうもんなら、地元の人から『あの金で……』とささやかれるでしょう」






 この場所は、過去にも「お宝発見騒動」に巻き込まれたことがある。2009年10月、敷地内のごみの山から金の延べ板が見つかったのだ。この時は、木片やコンクリート片など約60トンの建築廃材の山の中から、リサイクル用に分別作業をしていた女性作業員が発見した。廃棄物は群馬を含む関東一円から運び込まれたという。

 延べ板は重さ約1キロ、縦11・5センチ、横5・2センチ、厚さ8ミリ。この年は、世界的な金融危機でドル不信が拡大し、金の必要性が高まった時代だった。

 地元の男性(71)は冗談交じりに当時を振り返る。「金塊を強奪した男が、暴力団に脅されて投げ捨てたんじゃないの」

 すると、すかさず、男性の妻(70)が異を唱えた。「認知症の人か独居老人のものじゃないの?」。単身の高齢者が延べ板をタンスの引き出しに入れ、そのまま忘れてしまったか、みとられぬまま亡くなり、建物ごと取り壊された--というのが妻の説だ。

 結局、延べ板の持ち主は分からず、会社のものになったが、「社会に役に立ててほしい」と寄付されたという。



 それにしてもなぜ、同じ場所でこんなにもお宝が見つかるのか。「現代版『徳川埋蔵金』だね」。近くに住む男性(84)は半笑いを浮かべる。

 現場は赤城山のふもと。赤城山には、古くから、徳川幕府の御用金約400万両が江戸から運ばれ、埋められた--との伝説が残る。今もその埋蔵金を求めて探す人たちがいる。金が金を呼ぶのだろうか。