昭和期には、晴眼の平曲相伝者が館山甲午ただ一人という時期がありましたが、
今や相伝者は16名(たぶん)に増え、平曲は幕末以来の隆盛期を迎えております。
積極的に演奏活動をしている相伝者や学習者が、
互いに交流を持ち、情報を共有する機会も増えて参りました。
この四半世紀の流れをまとめておきます。
25年ほど前、晴眼の平曲相伝者は数名いましたが、
積極的な演奏活動をしている人はわずかでした。
あるとき、そのわずかな一人に急なことがあったそうで、
主催者がどう調べたのか前日に私に連絡をしてきて
「代理で演奏してほしい」と言われました。
でもナリワイの繁忙期のため前日に変更もできず断りました。
平曲伝承者同士が交流する機会も少ない状況でした。
その後、
2003年5月24日、弘前「スタジオ・デネガ」にて、
当時の平家琵琶相伝者4名を含む全6名で「弘前藩の平家琵琶」を開催してから、
少しずつ交流の機会が出てきました。
2004年『CD-BOOK声で楽しむ「平家物語」名場面』(講談社)出版
2007年『平家琵琶にみる伝承と文化』(大河書房)出版で
先人たちの知識や工夫を共有できたように思います。
2008年秋、平曲研究所を設立し文化庁に助成申請。
名古屋の荻野検校顕彰会にもお声がけをしました。
2009年、【平成21年度文化庁芸術団体人材育成支援事業
<調査研究・情報交流>
鳴海家本「平曲吟譜新集」に関する情報交流】
が採択されました。
同年、荻野検校顕彰会の事業も採択。
顕彰会の尾﨑先生が、顕彰会の申請書類の文面を考え、
それを参考に私が平曲研究所の文面を作って尾﨑先生に見て頂き、
最終的に私が両事業の書類作成と提出を担当しました。
これがご縁で、
2009年の平曲鑑賞茶会(名古屋。荻野検校顕彰会主催)
2011年と2014年の妙音会(名古屋。荻野検校顕彰会主催)
2011年と2013年と2014年の応挙館平曲会(上野。荻野検校顕彰会との共催)
など複数の伝承者が出演する演奏会が企画されました。
それ以外にも、
2017年10月17日、日比谷コンベンションホールにて平家琵琶相伝者6名が出演する「平家琵琶の世界」(相伝者たちとの共催)、
2023年に春秋で開催した「一ツ目弁天巻通し平曲会」(一ツ目弁天会との共催・秋はクラウドファンディング)
など、平曲相伝者や学習者との交流を積極的に図って参りました。
現在は、(推定設立年の順で)
平家琵琶普及会(東京)
平家琵琶研究保存会(仙台)
荻野検校顕彰会(名古屋)
平曲研究所(東京)
一ツ目弁天会(東京)
仙台平家琵琶普及会(仙台)
一般社団法人月見ケ岡文芸舎(名古屋)
平家琵琶訪月会(名古屋)
が、単独あるいは共催で活動しております。
「平曲協会」のような包括団体は存在しませんが、
ひとりで演奏活動が可能な平家琵琶だからこその強みがあります。
今年(東京)・来年(仙台)・再来年(名古屋)で開催する「巻通平曲会」は、
現代の平曲伝承の拠点となっている三都市の伝承者が交流を持てるような人選で企画されています。
今年は東京開催で、去る10月20日に無事終了いたしました。
仙台から渡辺一宇先生、名古屋からは福島真佐子さんが参加されました。