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>『すごいぞ大阪・西成区』というモノ
写真撮影がしたかった。うちの近所じゃノリ気で撮影できなかった。
ただ、小学生が3人歩いていて、それを夢中で撮ったので、やはり私は人間くささとか、なにか物語を撮りたいのだと思った。
以前、売春婦の写真をみたことがある。
それは釜が崎だった。戦後の写真で、私は衝撃だった。
行ってみた。
地下鉄動物園前、どっかのアジアの国みたいに、露店が多い。くたびれた感じのじじばばが多い。私は虜になりそうだった。ここは、人の、匂いがする。
浮浪者も多い。パチンコ店の、でかくて赤い柱に、ばあさんと犬がもたれかかって座りこんでいる。写真を撮りたい!!私の鼓動が高まる。いったん通りすぎた。しかし撮ろうと振りかえった。
露店のおっちゃんが、商品のなんか食べ物をパックにのっけて、笑いながらばあさんに差しいれていた。
撮れねぇなぁ、と思った。
もし撮ってたら、どやされてたんじゃないだろうか。
商店街を歩いた。いかにも!!というこってりしたおっさんが多い。思わず撮影。商店街をぬけた。路上がトイレくさい。尿くさい。
犬を連れたじいちゃんに写真を撮らせてもらった。おばちゃんらも加わった。あんまり好い笑顔で、温くって、よい撮影になった。
そのあともぶらぶら歩いた。街はとことん散策するからいいモノと出会える、それが旅の教訓。
と、なんか料亭みたいな構えの建物が見えた。パトカーが静かに巡回していった。建物の玄関は開け放たれて、中年を越えたオンナが2人、座っている。灯りは桃色だった。
あの窓の格子は…、この雰囲気は…、店の名前が源氏名っぽい。
そうか、遊郭街か!!
あたりはその建物だらけだった。たまに、桃色の光の玄関が開いていて、やはりオンナが2人、カメラを持つ私を見つめている。
閉じた玄関前に、ダックスフンドを抱いて座っているフツウの格好のおばさんを見つけた。通りすぎたが、やはり好奇心は抑えられない。ひきかえして、思いきって声をかけた。
「変なこと聞くんですけど、これって、営業してるんですか?」
店と関係ない人かも、とは思ったけど運良く、そこで働いてる人らしかった。
私をうさんくさそうに、見かえす。ダックスフンドが吠えた。
この辺は遊郭地帯。窓の格子は、この辺は危ないからつけてる。この店は3時から営業して12時に閉店。いま開いてる店もある。店が3軒連なって1つの建物だったりする。昼時に建物を撮影するならまだ大丈夫だけど、人を撮るのはダメ。追っかけられてフィルムを獲られた人もいる。
おばさんはわざわざ、いったん店にひっこんで、建物を撮らせてくれた。ただうまい構図にならなくて、撮らなかったんだけど。
最後に、お客はサラリーマンとかですかと訊いた。やくざ関係か日雇い労働者がくるんだろうと思っていた。おばさんは、つぶやくような話し方で、サラリーマンも学生も、誰でも来る、と言った。私は礼をして別れた。
歩いていると、あの犬のじいさんと会った。じいさんは遊郭の人らと仲良いあいさつをしていた。私が声をかけると、あっち、と阿倍野の高いビル群を指さした。いいえ、私の興味はあなたたちです。
いったん天王寺に行った。都会の空気だ。人の流れが止まらないから、人の匂いが散っていく。おもしろくないな、と思った。
とにかく西成区に戻った。もっと奥のほうに行くことにした。地下鉄の出入り口そばの100円ショップに行くと、浮浪系のじいさんばかり客にいて、昔のサスペンスドラマにでてきそうな風体のオンナがいて、驚いた。
雨が降ったので雨宿りしていると、おっさんが私のケツを触った。
血走った目の、心身ともに病んでそうなおっさんだった。「ねえちゃんケツでかいな」私はなにも言えなかった。
歩くと1日1000円のホテルがあった。これがドヤ街なのか?いくつか安めの惣菜店があって、なんだかすごく生活の糧なのかも、と思った。
だんだん路に屋台が増えていった。沖縄系の店がある。日本ではじめて見た屋台街。なにかを待つように、男が路に立っていたりする。
なにかやばい商売でもしてるんだろうか。
いままで嗅いだことのない匂いがした。酔っ払いの酒くささに、他の匂いが混じっている。その匂いの元に目をやると、雨があがったばかりの冷えた路の端に、男が1人、ぴくりともせずに横たわっていた。まわりの人々は気にも留めないようだ。死んでるんじゃないか、そう思った。
私はいつのまにかカメラの入ったかばんをしっかり抱えている。撮影はできそうにない。頭の隅で、治安の確認をしていた。
くたびれた町の、くたびれた屋台で、くたびれた住人たちが、挨拶を交わしている。私は人を感じた。みんなでじつは支えあってるんだろうか。人情を感じた。
商店街にぬけた。朝来たところだった。車椅子におっさんが乗り、松葉杖のおっさんらも不思議と多い。
なんなんだろう、この町は。どういう人たちなんだろう。
私のような若者は、そういえばいなかったなぁ。
でも魅力的だ。私はまた行くだろう。そこは、大阪の中の異世界だった。行かなきゃ、誰も知らない。
ただ、小学生が3人歩いていて、それを夢中で撮ったので、やはり私は人間くささとか、なにか物語を撮りたいのだと思った。
以前、売春婦の写真をみたことがある。
それは釜が崎だった。戦後の写真で、私は衝撃だった。
行ってみた。
地下鉄動物園前、どっかのアジアの国みたいに、露店が多い。くたびれた感じのじじばばが多い。私は虜になりそうだった。ここは、人の、匂いがする。
浮浪者も多い。パチンコ店の、でかくて赤い柱に、ばあさんと犬がもたれかかって座りこんでいる。写真を撮りたい!!私の鼓動が高まる。いったん通りすぎた。しかし撮ろうと振りかえった。
露店のおっちゃんが、商品のなんか食べ物をパックにのっけて、笑いながらばあさんに差しいれていた。
撮れねぇなぁ、と思った。
もし撮ってたら、どやされてたんじゃないだろうか。
商店街を歩いた。いかにも!!というこってりしたおっさんが多い。思わず撮影。商店街をぬけた。路上がトイレくさい。尿くさい。
犬を連れたじいちゃんに写真を撮らせてもらった。おばちゃんらも加わった。あんまり好い笑顔で、温くって、よい撮影になった。
そのあともぶらぶら歩いた。街はとことん散策するからいいモノと出会える、それが旅の教訓。
と、なんか料亭みたいな構えの建物が見えた。パトカーが静かに巡回していった。建物の玄関は開け放たれて、中年を越えたオンナが2人、座っている。灯りは桃色だった。
あの窓の格子は…、この雰囲気は…、店の名前が源氏名っぽい。
そうか、遊郭街か!!
あたりはその建物だらけだった。たまに、桃色の光の玄関が開いていて、やはりオンナが2人、カメラを持つ私を見つめている。
閉じた玄関前に、ダックスフンドを抱いて座っているフツウの格好のおばさんを見つけた。通りすぎたが、やはり好奇心は抑えられない。ひきかえして、思いきって声をかけた。
「変なこと聞くんですけど、これって、営業してるんですか?」
店と関係ない人かも、とは思ったけど運良く、そこで働いてる人らしかった。
私をうさんくさそうに、見かえす。ダックスフンドが吠えた。
この辺は遊郭地帯。窓の格子は、この辺は危ないからつけてる。この店は3時から営業して12時に閉店。いま開いてる店もある。店が3軒連なって1つの建物だったりする。昼時に建物を撮影するならまだ大丈夫だけど、人を撮るのはダメ。追っかけられてフィルムを獲られた人もいる。
おばさんはわざわざ、いったん店にひっこんで、建物を撮らせてくれた。ただうまい構図にならなくて、撮らなかったんだけど。
最後に、お客はサラリーマンとかですかと訊いた。やくざ関係か日雇い労働者がくるんだろうと思っていた。おばさんは、つぶやくような話し方で、サラリーマンも学生も、誰でも来る、と言った。私は礼をして別れた。
歩いていると、あの犬のじいさんと会った。じいさんは遊郭の人らと仲良いあいさつをしていた。私が声をかけると、あっち、と阿倍野の高いビル群を指さした。いいえ、私の興味はあなたたちです。
いったん天王寺に行った。都会の空気だ。人の流れが止まらないから、人の匂いが散っていく。おもしろくないな、と思った。
とにかく西成区に戻った。もっと奥のほうに行くことにした。地下鉄の出入り口そばの100円ショップに行くと、浮浪系のじいさんばかり客にいて、昔のサスペンスドラマにでてきそうな風体のオンナがいて、驚いた。
雨が降ったので雨宿りしていると、おっさんが私のケツを触った。
血走った目の、心身ともに病んでそうなおっさんだった。「ねえちゃんケツでかいな」私はなにも言えなかった。
歩くと1日1000円のホテルがあった。これがドヤ街なのか?いくつか安めの惣菜店があって、なんだかすごく生活の糧なのかも、と思った。
だんだん路に屋台が増えていった。沖縄系の店がある。日本ではじめて見た屋台街。なにかを待つように、男が路に立っていたりする。
なにかやばい商売でもしてるんだろうか。
いままで嗅いだことのない匂いがした。酔っ払いの酒くささに、他の匂いが混じっている。その匂いの元に目をやると、雨があがったばかりの冷えた路の端に、男が1人、ぴくりともせずに横たわっていた。まわりの人々は気にも留めないようだ。死んでるんじゃないか、そう思った。
私はいつのまにかカメラの入ったかばんをしっかり抱えている。撮影はできそうにない。頭の隅で、治安の確認をしていた。
くたびれた町の、くたびれた屋台で、くたびれた住人たちが、挨拶を交わしている。私は人を感じた。みんなでじつは支えあってるんだろうか。人情を感じた。
商店街にぬけた。朝来たところだった。車椅子におっさんが乗り、松葉杖のおっさんらも不思議と多い。
なんなんだろう、この町は。どういう人たちなんだろう。
私のような若者は、そういえばいなかったなぁ。
でも魅力的だ。私はまた行くだろう。そこは、大阪の中の異世界だった。行かなきゃ、誰も知らない。
