2018-3-9追記・修正
身長の伸びと肥満の関係
身長が伸びることは成長ホルモンが骨端線を成長させることです。
成長期に肥満になると、思春期を早めてしまい成長ホルモンの働きが減少する要因になります。
その理由には、子どもの成長を促す3つのホルモンが関係しています。
・成長ホルモン
骨に働きかけて骨の成長を促します。また筋肉を成長させたり、脂肪を燃焼させる役割もあります。体格を作るのに重要な働きを行っています。
・甲状腺ホルモン
骨の成長を促すことに加えて脳の発達や臓器を動かすエネルギーに関わるなど、あらゆる体内の働きに関係しています。
・性ホルモン
成長ホルモンの分泌を促したり、直接骨に働きかけ成長を促進させたりします。もう一つの役割が骨を成熟させる働きで大人の骨へと硬く丈夫にします。「思春期」になると、この性ホルモンが活発に分泌されるようになり骨が成熟され骨端線が閉じて身長の伸びが止まります。
肥満になると体内では脂肪が蓄えられた状態になります。成長ホルモンは脂肪を材料として分泌され結果、脂肪の消費に繋がります。
しかし脂肪の量が多すぎると「栄養が十分にある。これ以上成長しなくていいだろう!」と勘違いして分泌を減らしてしまうのです。
これに代わって出てくるのが思春期を早める「性ホルモン」です。
成長ホルモンの分泌が減ると性ホルモンは「成長期が終わりそう。じゃあ大人の体へ変えていきましょう!」と活発に分泌を始めるようになります。性ホルモンは骨端の軟骨を硬い骨へと変えていき骨端線が閉じて成長が止まってしまいます
このようなホルモンの働きがあり、できるだけ遅く思春期を迎えることで伸びる時期が長くなりますので身長を伸ばすには肥満にならないように気を付けることが重要です。
肥満の子どもは栄養が満ち足りていて、小さい頃は早く身長が伸びて他の子どもよりも大きいので心配ないと見逃してしまいがちになります。
実際には平均的な子どもより思春期が早くなる傾向があります。気づくといつの間にか他の子に追い越されていたということも多々あります。
体型や体重をチェックしながら暴飲暴食や運動不足、睡眠不足など生活習慣に気をつけましょう。
太る仕組み
私たちは脳や筋肉、臓器など体のあらゆる組織を使って生活しています。
組織を使うにはエネルギーが必要です。このエネルギーは毎日の食事から摂っている糖分や脂肪を使っています。
人の体はエネルギーを摂取出来ないときのために脂肪を蓄積しておくことができます。食事で摂った脂肪や糖分は中性脂肪として血液の中に送り込まれ脂肪細胞がどんどん吸収し大きくなります。大きくなりすぎた脂肪細胞は分裂してまた脂肪細胞となり無限に脂肪が増えていきます。
このように脂肪と糖分を摂るだけだと脂肪細胞は増える一方ですが、体の組織を動かすことで脂肪が消費されていきます。
「摂取したエネルギー」と「消費したエネルギー」が同じ量であれば「太ったり」「やせたり」することはありません。しかし「摂取したエネルギー」が「消費したエネルギー」よりも多かった場合は脂肪として体内に蓄積され太っていくことになります。
太る仕組みをまとめると
・脂肪と糖によって中性脂肪が作られる
・脂肪細胞は中性脂肪を吸収する
・中性脂肪が多くなると脂肪細胞も大きくなり結果太る
・摂取エネルギー>消費エネルギーだと太る
食事で摂る脂肪と糖で体内脂肪の素となる細胞が作られています。
摂取した量だけ消費してやれば太らないということになります。
成長期の肥満とは
肥満とはどれくらい太った人のことをいうのでしょうか?
成長期の肥満度の目安となるものに「ローレル指数」という計算式があります。
体重(kg) ÷ {身長(cm) X 身長(cm) X 身長(cm)} X 10000000=ローレル指数
例)身長160cm 体重50kgの人だとすると
50÷(160x160x160)x10000000=122.07
これを下表に当てはめて判定します。
122は正常範囲となります。
ローレル指数が145以上のお子さんは肥満気味、160以上で肥満という判定になります。
参考まで:成人の方の肥満度の目安はBMI指数で判定します。
体重(kg) ÷ {身長(m) X 身長(m)}=BMI指数
肥満が及ぼす影響
近年、子どもの生活習慣病が問題になっていますが、内臓脂肪型の肥満によるものが多くあり、成人と同じように糖尿病、高血圧、高脂血症といった恐ろしい病気に発展する可能性があります。
また小児期に肥満だった場合、成人になっても肥満である確率は約8割というデータが出されています。現在、肥満や肥満気味といったお子さんは将来の健康のためにも、すぐにでも生活習慣の改善を始めてください。
病気だけでなく肥満の外見を気にして引きこもりがちになったり、友達に指摘されたりと精神的にストレスを溜め込む要因にもなります。
保護者の方が毎日の健康管理をしてあげることでお子さんの成長や将来の健康に繋がります。
肥満になる原因
肥満の原因として、みなさんは”カロリーの摂りすぎ”や”運動不足”が浮かんでくると思いますがそれだけではありません。
肥満の原因となる主なものには次のようなものがあります。
・カロリーの摂りすぎ
・運動不足
・ホルモンや自律神経の乱れ
・食事の摂り方
カロリーの摂りすぎ
※カロリー(cal)とはエネルギーの単位です。同じ意味合いで使われることが多い。
体が太る理由は摂取カロリーが消費カロリーを上回って脂肪が蓄積されていくためです。高カロリーの食品をたくさん食べて運動量が少ないと当然太ります。
といっても、成長期に食事制限は好ましくありません。
栄養素を減らすことはせずに、カロリーの高い食品を避けて別の栄養素で食欲を満たす。といった方法を取り入れましょう。
高カロリーの食品とは糖質、脂質、タンパク質が多いものになります。
代表的なものはカップ麺、カツ丼、ハンバーガー、ケーキ、ドーナツといったところでしょうか。
ジュースや炭酸飲料といった飲み物にもたくさん甘味料が使われていますし、スナック菓子やクッキー、チョコレートなどもカロリーが高い食品です。
これらの食品を避けてカロリーが低く栄養価の高いものを代替えとして食事することを意識しましょう。
運動不足
人の体は寝ているときでも休みなく呼吸をしたり脳や内臓といったあらゆる組織が働いています。これは生命を維持するために働いていますが、この毎日の生活に必要最低限の活動を「基礎代謝」といいます。
基礎代謝は年齢や性別、体格によって違いはありますが、小学生で1000kcal~1300kcal、中高生で1300kcal~1500kcalくらい消費しています。これは毎日消費するエネルギーの6割から7割にあたります。
この基礎代謝は運動不足によって筋肉量が減ってくると基礎代謝の消費量も減少します。また運動不足になると血行が悪くなり冷え性の原因となって脂肪燃焼の効率が悪くなります。
同じものを同じくらい食べても太る人、太らない人の違いは基礎代謝の違いと運動量の違いになっていると言えます。
ホルモンや自律神経の乱れ
自律神経は、脳からの指令なしで呼吸や内臓などの活動を調整するために働く神経です。 自律神経には2つの神経があり、体の活動時や昼間に活発になる交感神経と、安静時や夜に活発になる副交感神経があります。
この2つの神経が日々の生活の活動、休息によってバランス良く切り替えられていますがこのバランスが崩れると体に影響が出てきます。
自律神経が乱れる(2つの神経のバランスが崩れる)のはストレスや生活習慣によって起きることがほとんどの原因となっています。
現代の日本人はストレス社会と言われるほどストレス過多な中で生活しています。
これは成人だけでなく子どもたちにも同じことが言えます。成績や受験、友人関係や家庭環境など様々なストレスを受ける機会が増えています。
また普段の生活においてもテレビやスマホなどを夜遅くまで見ているお子さんも多いでしょう。中高生はこれに加えて試験勉強や受験勉強が多くなり夜遅くまで起きていることが多くなります。
このストレス過多と夜型の生活習慣によって交感神経が活発な状態が長く続き、体が休息モードになる時間が短くなりバランスが崩れていきます。
自律神経が乱れてくると次のようなことが起こりやすくなります。
・血流が悪くなり体温が低下する
・基礎代謝が下がる
・成長ホルモンの分泌が弱くなる
・ホルモンバランスの異常
体温が低下したり基礎代謝が下がると脂肪の燃焼効率が悪くなり消費しにくい体になります。また質の良い睡眠が取れないことで成長ホルモンの分泌が減少します。
交感神経が活発になるとコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。
コルチゾールは筋肉を脂肪に変えるという性質があるため筋肉量が減り脂肪が増えることになります。
ホルモンバランスの異常にはもうひとつ、インスリンの分泌が活発になりグルカゴンの分泌が減少することも挙げられます。
インスリンは血液中の糖質(血糖)を内臓細胞に取り込んでため込む働きをします。大量に分泌されることで体内に糖質がたくさん溜まっていきます。
またグルカゴンはインスリンと反対に溜め込んだ糖質を血糖を上げるために消費する働きがありますがこれが減少すると内臓細胞の糖質は溜まったままです。
このインスリンとグルカゴンのバランスが崩れることで糖質が体内にたまった状態になり太りやすくなります。
このように自律神経が乱れてくると代謝が悪くなったりホルモンバランスが崩れたりと、太りやすい体質になり身長の伸びに影響してきます。
食事の摂り方
毎日の食事で気をつけたいのは栄養バランスです。
成長期は代謝も良く、多くのエネルギーを必要としています。
しかし栄養が偏った食事をたくさん摂取すると肥満の原因になります。
ご飯とハンバーグであれば付け合せの野菜を多めにしてワカメスープを付けるとか、カレーライスには野菜サラダとフルーツヨーグルトなどたくさんの種類の食品を取り入れるように気を付けましょう。
また食事を摂るときには、汁物だけ先に食べてしまうとか一つのものをいっぺんに食べるよりも、色々な食品を順番に(いわゆる三角食べ)少しづつ食べるようにしましょう。
その方が栄養バランスに優れ食べ残しも少なくなるそうです。
おすすめの食べ方は、
食物繊維(野菜類、海藻類、キノコ類など)→タンパク質(魚類・肉類など)→炭水化物(ご飯・麺類・パンなど)の順番で食べると、食べすぎたり肥満の予防になると言われています。
他にも食事の摂り方で太る原因があります。
・早食い
早食いをすると唾液によって分解する時間が短くなり胃の中での消化時間が長くなります。また満腹中枢が刺激される前に次から次へと食べるので過食状態になりカロリーオーバーとなってしまいます。
・食事の回数が日によって違う
朝が苦手で食事が一日2回だったり、3食に加えて間食や夜食を食べたりと不規則な食事は肥満に繋がります。朝食をぬいてお昼までの時間が長くなると体はたくさん栄養を溜め込もうとして多くのエネルギーを欲しがります。
また、3食以外に食事を摂るとおやつだったり夜食のラーメンだったりと高カロリーのものが食べたくなります。一日3食を規則的に食べるようにしましょう。
・夜遅い時間に食べる
夜間は副交感神経の働きや体を動かすことが少ないのでカロリーが消費しにくい時間帯です。この時間に食べてしまうと大部分が体脂肪となり体に蓄積されていきます。
・テレビやスマホを見ながら食べる
テレビを見ながらとかスマホを触りながらとかの「ながら食べ」は満腹感を得にくくなります。なにより味覚が集中していないので美味しいと感じにくいのではないでしょうか。家族と一緒に食事を楽しむ時間にしたいものです。
肥満を防ぐ改善ポイント
肥満の原因を分析すると、やはり食生活と運動です。
摂取カロリーが消費カロリーを上回ると体脂肪の増加に繋がりますので毎日の生活を改善することが必要です。
食生活の改善ポイント
・1日3食をなるべく同じ時間に食べる
・よく噛んでゆっくりと野菜から食べる
・ご飯の量は少し抑えて、代わりに副菜の種類を増やす(多くの栄養素をバランス良く食べる)
・鶏肉、魚、大豆製品、乳製品などでタンパク質をしっかりと摂取する
・好き嫌いを減らそう
・テレビは消してスマホも使用しない、家族一緒の食事が良い
・間食、夜食は控えてジュース類やおやつもカロリーが高いことを意識しよう
高カロリーの食品摂取を少なくすることが大切ですが、成長に必要な栄養素まで減らすことは成長を停滞させてしまいます。栄養素は量よりも種類を多く摂ることが重要です。
また成長期のお子さんにとっておやつは食事以外に栄養素を補う補食になります。
お菓子よりも果物やゼリー、乳製品のチーズやヨーグルトなどをおやつとしてオススメします。
運動不足の改善ポイント
・食事の後片付けや洗い物を一緒にする
・犬の散歩に一緒に行く
・買い物に自転車で出かける
・なわとびやラジオ体操など簡単なものを始めてみる
・休日にはボウリングやサイクリングなど家族で体を動かす
「運動させなくては」と肩ひじ張らずに普段の生活のお手伝いをするだけで将来的に大きく違ってきます。「これで運動なの?」ということから始めて、継続することが重要です。
特におすすめなのは一緒に会話しながらウォーキングすることです。15分から30分くらいの散歩を続けることで基礎代謝が上がり脂肪を燃焼しやすい体へと変わっていきます。
食事の改善、運動の改善どちらも家族の協力が必要です。お子さんが肥満にならないように気を配り、身長が伸びる手助けをしてあげてください。
まとめ
近年、子どもの肥満が増加して健康面での問題が取り上げられています。
生活スタイルが変化して共働きの家庭が増え、外食やファーストフード、コンビニを利用することが多くなりました。その結果、高カロリーで栄養が偏った食生活となっています。
また外で遊ぶ場所や機会も減少し、体を動かさなくなることにより摂取カロリーは増えて消費カロリーが少ないといった太る原因を作り出す生活になっています。
高カロリーな食品を避けて栄養素の種類を多く摂ることを心掛けてください。
夜食を控え、テレビやスマホはほどほどにして夜型生活を改善することで睡眠の質も上がります。
身長を伸ばすのに必要な成長ホルモンは肥満になると分泌を妨げる要因となります。
「睡眠」「栄養」「運動」の生活習慣はとても大事です。
お子さんの成長を促進させ健康的に過ごすため肥満を防ぐポイントを実践していきましょう。





