ヴァイオリンと朗読の世界~VOL.13 | 吟遊詩人へのあこがれ~ヴァイオリンを弾きながら~

吟遊詩人へのあこがれ~ヴァイオリンを弾きながら~

かつて西欧で音楽と詩で世の人々を楽しませていた「吟遊詩人」。伝統的な神話や民話に、また複雑な現代社会で生き抜く苦しみ、ときには甘い男女の語らいに人生の真実を見出し、歌謡にして伝えていく、そんな「伝道師」って素敵ですよね!

★★ヴァイオリンと朗読の世界~VOL.13★★  

 

みなさま「百羽のつる」という童話(児童文学)をご存知でしょうか?
花岡大学さんの代表作品といってよいかもしれません。

...

 

(あらすじ)

 

百羽のつるが群れをなして冬の空を渡っていきます。
長い旅ももうすぐ終わり。ようやく目的地に近づいてきたころ。
一羽の子供のつるが力尽きて、ぐんぐんと落ち始めました。
実はその子供のつるは病気だったのです。
でもそのことを仲間のつるには言えずにいました。

 

みんなの旅が、途中で止まってしまうかもしれないから。
みんなのがんばりを無にしたくないから。

 

落ちていくのに気づいた残りの99羽のつるはみんなで連なって、大きな網を作ります。
その網で、子供の鶴を優しく救い上げて、また再び群れになって空へ舞い上がりました。
目的地へ到着する喜びは、もうすぐです。

 

***

 

 

一羽はみんなのことを想い、みんなは一羽のことを思いやる・
家族のようなきずなとあたたかさが伝わるお話です。

小学校の国語の教科書に採用されるくらい、内容が深く文章が美しい。

それでいて平易な言葉で書かれている。

 

 

実はこれ、朗読では大切な要素 

です。

 

 

聞き手は難解な文章を耳からだけでは意味が取りにくいこともありますから。

情景が目に浮かびます。

大人の視点から見れば、いろいろ深く考えたくなる部分もあります。
しかし説明的になり過ぎない、最小限のせりふと最小限のナレーションにより格調高い印象を与えます。

 

 

この名作に取り組める喜びを、ヴァイオリン奏者としてかみ締めています。

 

 

この朗読を担当してくださるのが、私の盟友にして音楽仲間の

 

岩男慎子さん

 

彼女はすばらしいホルン奏者である一方で、小学1年と幼稚園の二人の男の子の母でもあります。
彼女の決め細やかな心遣いと深い愛情に包まれるお子さんたちはそれはそれは幸せだと思いますが、子育ては本当に大変ですね。彼女は日々格闘なのだろうと思います。でも彼女の澄んだ声と人柄はそのことを感じさせないくらいに穏やかで美しい。

岩男さんによるママの読み聞かせのような、やさしい語り口での朗読をぜひご期待ください。

 

今回の出演枠は25分。

 

「ヴァイオリンと朗読の世界」は音楽企画です。ヴァイオリン音楽と文学作品の朗読で世界をつづっていくのがコンセプトなのですが、せっかくホルン奏者がいるのです。だからホルンという楽器を主役に持ってきた楽曲を演奏しちゃおうではないか!ということで曲を選びました。

 

ホルン三重奏曲/J.ブラームス

 

この曲は、ヴァイオリンとホルンとピアノのために巨匠ブラームスが33歳のときに作曲したものです。
この編成の曲は大変珍しいもので、実際に演奏される頻度は大きくありません。
しかし楽曲はとてもすばらしい。ロマンチシズムあふれるピアノとホルンそしてヴァイオリンのアリアのような旋律の掛け合い、激しいリズムとスタッカート、こちらもぜひお楽しみください。

 

ピアノを演奏してくださるのは、

 

田村麗子さん。

 

岩男さんのご紹介によるご縁で、今回が初めての共演となります。華麗にして可憐、それでいて節度ある落ち着いた音楽性に、私も岩男さんもすべてをゆだねて、ブラームスの世界に近づきたいと思います。

 

 

こんな3人のパフォーマンス。

 

 

会場は平塚市。
お時間おありの皆様、、12/4ぜひお越しください。