耐え難い事件が起きた。

子どもをもつ親や駐在を経験したことがある家族なら

なおさら、心が痛む事件である。

心より、ご冥福をお祈りしたい。

 

ただ、私にはマスコミ(マスごみ)の報道の仕方が

更なる憶測や不安、反中の感情を煽り、

多くの人々がステレオタイプになっていくことも懸念している。

中国の中でも親日と呼ばれる都市があり、10年以上前

夫が赴任することになった。

 

当時は反日感情が高まっていた時期で、出社するのも送迎だった。

欧米の赴任とは明らかに違う、何かの違和感。

悩んだ末に、中国への家族での赴任をやめ、

夏休みだけ、夫の赴任先で過ごすことにした。

 

Hotelのようにみえるこの建物は駐在員が暮らすコンドミニアム。

外にはレジデント用の大きなプールがあって、建物入口から寒いほどの

ガンガンの冷房。単身なのにいくつものベッドルーム。

無駄に・・贅沢。

何だか、余計に反日感情が芽生えそうな気がした。

加えて、中国は社会主義と教わった世代であるから、

社会主義市場経済を肌で感じて、少し怖くなった。

 

赴任先の家には、洗濯をしてくださる方、掃除をしてくださる方、

買物に付き添ってくださる方が常勤で来てくださった。

洗濯ものをたたもうとすると「私の仕事をとらないでください」と

笑顔で制止された。

とてもとても居たたまれない気持ちになった。

 

しかし、数日を共に過ごし・・私がステレオタイプだったことに気づいたのだ。

 

お手伝いさん達は、皆、穏やか。

しかし、どこか凛々しい。

子ども達にも中国のおもちゃをくださったり・・

おしゃべりしてくれたり。

私の買い物に付き合い、一緒にお土産を探してくださったり・・

「なぜこんなに親切なのですか?」の私の問いに・・。

中国の言い伝えを話してくれた。日本でいうところの

情けは人の為ならずということであった。

そしていつか日本に行きたいと言っていた。

英語と日本語、中国語を交えて本当に楽しいひと時をくださった人だった。

 

確かに中国は旅行で行くのとは異なり、

生活してみると、恐怖に感じる面も多々ある。

日常食だって、びっくりする部位なんかも売っていたり。

道路がいきなり陥没していたり、(私は一度、転落しそうになったこともある)

カメラを出すと警備の人が

「きっ」とした顔で近づいてきたり・・等々。

 

でもね・・その国が大切にしてきた文化はそれぞれ。

そして、人。一括りにしてはいけないと思う。

日本人だっていい人もいれば、そうじゃない人もいる。

中国人だって、同じ。本当に心優しい人はたくさんいる。

勤勉で、正直な人もたくさんいる。

 

どうか、国籍を超えて、世界が人類皆兄弟となってほしいと願うばかり。

どうか、マスごみは、逆流させることだけはしないでほしいよ。

 

ただ、今回の事件はご両親の気持ちを思えば、

絶対に絶対にあってはならない、耐え難い事件だったと心から思う。

 

駐在員の皆さまの安全を心より願っています。