「弥勒」 篠田節子著 | 50代からの読書

50代からの読書

子どもの頃から本が好き。若い頃はおもしろいと思えなかった本も今なら感動することもあり、読書を通して自分の変化を感じます。読書の記録を通して、50代の心の一端を残してみます。

 

映像のように強烈な描写

 

 

東京で美術展などの開催を手がける男性が主人公。

インドと中国に挟まれた小さなパスキムという国。その、ヒンドゥー教と融合したパスキム仏教の美術品の美しさに強く惹かれている。

いろいろあってパスキム国に迷い込んだ結果、人生観を180度変える凄まじい体験をすることになる。

 

幸せな暮らしとは、豊かさとは、文明とは、生きるとは、命とは…などなど、自分の根源的なところを深く深く考えるきっかけが満載されている。

ストーリーもぐいぐい展開していき、だいぶページ数があるけれど、どんどん読んでしまう。

「すごい」みたいな何でも表してくれる感嘆詞を、10回くらい連発したくなった。

 

弥勒とは、遠い未来に仏となる修行者のことらしい。(あまり理解していないので違うかも。)

主人公はパスキムの弥勒像を追いかけているのだが、最後まで読んでみると、主人公自身が弥勒と重なるようにも思われる。

 

 

篠田節子

1955年、東京都生まれ